日本発!新たに9カ所のラムサール登録湿地が誕生


ルーマニア、ブカレストのラムサール条約会議(COP11)より、自然保護室の安村です。

今日から本会議が始まり、議題と運営規定の採択、議長の選出、オブザーバーの承認が行なわれ、科学技術検討委員会と広報・教育・普及啓発のプログラムから報告がありました。

この本会議のほかにも、多くのサイドイベントが連日開催されます。7日昼には、日本の環境省による条約への新規登録を祝うイベントが催されました。今回の会議で新たに条約に登録された湿地は右の9カ所です。

これで、日本のラムサール条約登録湿地は、46カ所に増えます。

このサイドイベントには、多忙を極めるアナダ・ティエガ条約事務局長も出席。ラムサール条約が統合的な流域管理を重視する中、日本において湿地の保全管理を担い、また積極的に取り組む自治体の方々に、大きな期待を寄せている、と挨拶を述べました。そして事務局長はこの場で、イベントに参加した6つの自治体関係者に、登録認定証を手渡されました。

これは、私たちにとっても本当に嬉しいことでした。
なぜなら、渡良瀬遊水地や円山川、中池見湿地、東海丘陵湧水湿地群を保全する草の根の活動を、WWFジャパンでは過去に助成事業を通じて支援してきたからです。

また、荒尾干潟と与那覇湾も同様です。この2カ所は、環境省が実施している「モニタリングサイト1000」の渡り鳥(シギ・チドリ類)の5カ年分の調査データと、ラムサール条約などの基準をもとに、WWFが2010年に発表した国内68カ所の重要湿地に含まれています。

授賞式の後、各地域の取り組みが発表されましたが、あらためてそれぞれの湿地の多様さや、いかに多くの関係者が協力しているか、その取り組みが多彩であるかを実感しました。

ラムサール条約への登録は、世界の保全湿地への仲間入りを意味します。
これを契機に、保全管理と取り組みへの認知がより向上し、地域の一次産業や観光業の支えとなること、また他の地域にもよい波及効果をもたらしてくれることを期待します。

 

 

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ティエガ事務局長から認定証を受け取る兵庫県豊岡市の中貝宗治豊岡市長。円山川下流域・周辺水田はコウノトリの里として知られる

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いよいよ明日から決議案の審議が始まります

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自然保護室長(淡水・リーダー開発・PSP)
安村 茂樹

修士(生物化学・早稲田大学)
サンゴ礁センター駐在時に地域住民主体の環境調査を立ち上げ(現在も石垣島、久米島で継続中)。南西諸島域にて、多分野の研究者と協働した野生生物有害化学物質汚染調査、生物多様性評価調査を指揮。GIS手法を用いた保全重要域図は生物多様性条約で示されたEBSAに、野外調査ではオキナワトゲネズミ再発見や久米島沖のサンゴ大群集発見に寄与。UNEP/GEF黄海プロジェクトと連携した日中韓湿地保全活動をリードし、2020年より緊急支援や淡水・教育活動に関わる部門を統括。

沖縄のサンゴ礁と森、中国・韓国の干潟の保全に従事。国際会議でサイドイベント主催やロビー活動をする機会をいただきました。国際、環境、NGO-この3ワードが合わさるWWFで、何をすべきか考え、その仕事の醍醐味を実感し、行動する。そんな機会を一人でも多くのスタッフに提供したいです。晴れの日に気が向いたら、自転車で通勤し、休みは、川でカヌー漕いでいます。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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