九州のクマに「絶滅宣言」。しかし...
2012/09/06
広報の佐久間です。
先月、環境省が、絶滅のおそれのある野生生物のリスト「レッドリスト」の改訂を行ない、ニホンカワウソやダイトウノスリなどを「絶滅種」に指定したことを発表。同時に、九州地方のツキノワグマも「絶滅」とされました。
正直なところ、この発表にはびっくりしてしまいました。
というのも、クマの研究者が中心となって活動する「日本クマネットワーク」が、九州の祖母傾山系(そぼかたむきさんけい)で2011年度から3年計画で調査をしている最中だからです。
今年6 月9~10日には、のべ69 名が現地でクマの痕跡などを探したほか、46 台の自動撮影カメラを設置しています。
実は私も、この調査に参加しました。山々は想像以上に深く、ツキノワグマが好みそうな環境があちこちに残っていて、少数のクマがひっそりと生き残っている可能性に、期待せずにはいられませんでした。
環境省は「最後の確認から50年以上たっており、専門家で議論した上での判断」としています。これはこれで、客観的な判断だと思います。
ただ、日本クマネットワークもまた、フィールドで直にクマと付き合ってきた専門家が多く参加する団体です。その調査結果が出るまで、待ってくれても良かったのでは…と思えてなりません。
「レッドリスト」が信頼性の高いデータでありつづけるためにも、どこかの時点で判断を下さなければならないことはわかっていますが、九州のツキノワグマにしろ、ニホンカワウソにしろ、望みを捨てずに調査を続ける人たちの思いもまた、痛いほどわかるのです。
6月の祖母傾山系の調査では、クマの痕跡だと断定できるものは発見できませんでした。また、今のところ、自動カメラもツキノワグマの姿を捉えていません。
しかし、まだ12台のカメラが稼働中です。耳の先っぽでもいいから、何とか写ってほしい。やはり、そう願っている自分がいるのです。