「百の眼」を持つ鳥


森の中で撮られた「目玉だらけ!」の、この写真。
一瞬なにかと驚きますが、これ鳥の尾羽です。

正体はセイランというキジ科の鳥の一種。学名(ラテン語名)はArgusianus argusで、このargus(アルゴス)とは、ギリシャ神話に出てくる100の眼を持つ巨人!だそう。

どうやら、見事な尾羽を飾る、たくさんの目玉模様から付けられた名前のようです。

この写真は、インドネシア・スマトラ島南部のバリサン・セラタン国立公園の森に設置した、調査用の自動カメラで撮影した写真の中の一枚です。

前を動物が通ると、赤外線センサーが反応してシャッターが下りる仕組みで、一箇所につき数百枚の写真データが集まるのですが、見ているとやたらにこの鳥が出てくる。

でもそのおかげで、たまにはこんな尾羽だけの奇妙な構図の写真が撮れたり、クジャクのようにこの尾羽を広げてディスプレイ(求愛行動)を行なったりしている姿が捉えられていたりもします。

バリサン・セラタン国立公園は、私たちがWWFインドネシアとともに現在保全活動を展開している重要なフィールドの一つで、多種多様な野生動物が息づく、世界自然遺産の森です。

ですが時には、そのカメラのレンズが、野生動物を狙う密猟者の姿を捉えることもあります。

この夏、WWFジャパンではスマトラの森を守る取り組みをご支援いただくための、寄付の呼びかけを行なっています。皆さまにもぜひ、ご協力をお願いいたします。(広報担当:三間)

▼関連情報

セイランの「百の眼」

おっと!近い!!

通り道にでもなっているのか、やたらにカメラの前をウロウロするので、何度もシャッターが下りてしまうらしい。

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

学士(芸術学)。事務局でのボランティアを経て、1997年から広報スタッフとして活動に参加。国内外の環境問題と、保全活動の動向・変遷を追いつつ、各種出版物、ウェブサイト、SNSなどの編集や制作、運用管理を担当。これまで100種以上の世界の絶滅危惧種について記事を執筆。「人と自然のかかわり方」の探求は、ライフワークの一つ。

虫や鳥、魚たちの姿を追って45年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの30年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと願っています。

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