「ギガトン・ギャップ」は埋められるか?ADPが開幕
2013/11/14
ポーランドのワルシャワより、温暖化担当の山岸です。
開会2日目を迎えた国連の気候変動会議(COP19)の会場では、前日、自国を見舞った台風30号の惨状をスピーチで伝えた、フィリピン政府代表のヤップ・サノ交渉官が注目されています。
「この日、サノ交渉官はCOP19の開期中、会議に実りある成果がもたらされるまで「食を断つ」と宣言。
この行動に多くの若者が同調してイベントが開催され、フィリピンへの連帯と、石油・石炭などから再生可能な自然エネルギーへの転換が呼びかけられました。
こうした世界の人たちの声が上がる中、COP19の主要な議論が行なわれるADP(ダーバン・プラットフォーム作業部会)が開幕しました。
すべての締約国は2015年に新しい国際枠組みに合意し、2020年から始動することになっています。ADPでは、1)2015年の合意の内容、2)2020年に新しい枠組みが始動するまでの取り組みが話し合われます。
気候変動の深刻な影響を回避するためには、地球の平均気温の上昇を産業革命前と比べて2度未満に抑えなければなりません。
今年11月5日、UNEP(国連環境計画)が指摘した見込みによれば、現在各国が目標として約束している温室効果ガスの削減量の合計と、気温上昇を2度未満にするために必要な削減量との差は、2020年時点で80~120億トン。
しかし、技術的にはこの大きな差(ギガトン・ギャップ)を埋めることは可能であるとされ、UNEPは各国に目標の上積みを求めています。
ADPでは、このギャップを埋めるため、各国の削減目標と行動をいかに引き上げていくかが焦点になります。
新しい国際枠組みに合意する2015年まで、あと2年。残された時間は長くありません。
「言葉だけでなく、行動を起こしてほしい」フィリピンのサノ交渉官が発した訴えに、世界の国々は応えられるか。ADPの展開が注目されます。