希少種「サオラ」ベトナムで15年ぶりの撮影記録
2013/11/15
「サオラ」という動物が、ここ数日、ちょっとしたニュースになっています。
サオラは、インドシナ半島の森にすむウシ科の動物で、顔に独特な白い模様があり、背面へまっすぐ伸びた美しい角が特徴です。
WWFなどの調査により、この動物が発見されたのは1992年(ヤンバルクイナよりも新しい!)。当時、世界的なニュースにもなりました。
しかし、もともと数が少なく、生息域も広くはなかったサオラのこと。その後も、生存の痕跡は認められても、生きた姿が実際に確認・報告された例はわずかにとどまりました。
その野生の姿が今回、ベトナムで実に15年ぶりに撮影された!ということで話題になったわけです。
これにはさすがに興奮して、私もその画像を見たのですが...
写っていたのは、森の中を横切る姿を、写真の端に捉えたモノクロの画像で、残念ながら顔は見えず!というものでした。
少々拍子抜けした感は否めませんでしたが、野外で、しかも熱帯林の中で野生の動物を撮影する困難を思えば、これも頷けること。
逆にいえば、この画像を手にするまで、WWFベトナムのスタッフや研究者たちは、大変な苦労をしたのだと思います。
IUCN(国際自然保護連合)の「レッドリスト」によれば、サオラの推定個体数は750頭をはるかに下回るとみられており、絶滅の危機も最大の「近絶滅種(CR:Critically Endangered)」にランクされています。
今も続く密猟を絶ち、サオラがこれからも生き続けられる森の自然を守ってゆかねば、本当に絶滅してしまうかもしれません。
そうした中で今回、生存がこうして確認されたのは喜ばしいことです。現地でパトロールや調査に取り組む方々を、これからも応援してゆきたいと思います。
なお、この件のニュースで、一部サオラを「ソアラ」としているようですが、これは報道の誤植です(^^; お間違いのないように。(広報担当:三間)