安い燃料は、高くつく
2013/11/20
ポーランドのワルシャワより、温暖化担当の山岸です。
こちらでの国連の気候変動会議(COP19)が2週目を迎えた11月18、19日の両日、議長国であるポーランド政府が世界石炭協会と「世界石炭・気候サミット」を共催しました。
石炭―― それは市場価格が最も安く、温室効果が最も高い化石燃料です。
かつて産業革命を支えた石炭は、現在も広く利用されており、今後も消費量が増えると見られています。
世界の石炭の生産量は2000年から2012年までの2年間で69%も増加。年間で79億トンに達しました。これは産業革命以降、最大となる石炭の採掘・消費量です。
世界第9位の産炭国であるポーランドは、特にこの石炭を頼っており、今後さらに依存度を高める計画も立てています。
今回の石炭・気候サミットの目的は新技術による気候変動への貢献ですが、こうしたアピールもそうした姿勢の顕れの一つでしょう。
ですが、ポーランド国内では、安全かつ安価に採掘できる炭鉱が減っています。
2005年には石炭の輸入国に転じ、残された炭鉱も掘削コストが高く、落盤や爆発などの危険もあるため、石炭の安価が今後も守られる保障はありません。
また今年6月に中央ヨーロッパを襲った異常気象による大洪水の際には、ドイツ、ハンガリーなどと共に、ポーランドも大きな被害を受けました。
気候変動や大気汚染を招き、健康や環境のリスクを増大させる可能性を考えると、石炭の将来的なコストは、むしろ高くつくのです。
この石炭・気候サミットの開催を受けて、気候変動問題に取り組む世界のNGOの集まりであるCANインターナショナルは、ポーランドが石炭産業を支援しているとして「化石賞」を与えました。
COPの議長国として、脱・石炭依存に向けた姿勢を示すことが、今ポーランドには求められています。
■関連情報