米オバマ政権の温暖化対策への大きな一手
2014/06/04
6月2日、温暖化対策にとっての朗報が業界を駆け巡りました。
米オバマ政権の下で、環境保護庁(EPA)が温室効果ガスに関する新しい排出規制を発表したのです。発表された規制は、(新しく作る発電所ではなくて)既存の発電所からでるCO2排出量を規制するものです。
EPAによると、2030年までに電力部門の排出量を2005年比で30%削減するもの、とされています。その達成には、排出量取引制度や、省エネ対策、RPS制度を使用した自然エネルギーの普及なども活用できるようになっているようです。
電力部門はアメリカ全体の中でも最大の排出部門で、期待される削減量は7億3000万トンと、日本の現在の年間排出量の半分以上に相当しますので、決して小さなものではありません。EPAは既に昨年9月の時点で、新設の発電所についても、事実上、新設で石炭火力発電所が作れなくなるような厳しい規制が発表しています。
日本にはこのような規制はありません。少なくとも規制の強度という意味においては、日本は周回遅れの様相を呈してきました。
「日本の発電所はアメリカよりもCO2効率がよいから」と主張する人もあるかもしれませんが、日本も分野によってはアメリカより効率は悪く、かつ、今後日本はむしろ石炭火力を増やそうとしてしまっています。
アメリカの国内対策における積極姿勢は、4日から始まる国際交渉にもポジティブなシグナルを送ることになるでしょう。もちろん、まだまだ油断はできません。アメリカ国内では、この規制に対して、まず間違いなく業界からの反発があがります。
また、環境NGOとしての視点からみた場合、決して十分な水準とも言えませんが、とにもかくにも、こうした対策が各国で進んでいくことは極めて重要です。日本も「CO2削減対策競争」に積極的に参入していくことが必要です。(自然保護室:山岸)
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