COP20リマ会議より「本日の化石賞」


国連の気候変動会議(COP20)が開催されているペルーのリマより、温暖化担当の山岸です。

12月3日、私たちWWFを含めた国際NGO7団体は、合同記者会見を開きました。

気候変動を食い止めるため、主に先進国から途上国に援助される資金の扱いについて、明確なルールを定めることを求めるものです。

発端となったのは前日、日本政府の「本日の化石賞」の受賞でした。

これは気候変動問題に取り組む900以上のNGOがつくるCAN(気候行動ネットワーク)インターナショナルが、その日の国際交渉を停滞、後退させる発言や行動をした国に与える不名誉な賞です。

日本は過去にもしばしばこれを受賞してきましたが、COP20では早くも2日目に1位を受賞しました。

理由は、インドネシアをはじめとする途上国での石炭火力発電所の増設に対し、日本政府が資金援助を行なっているためです。

化石賞の授賞式は大きな注目を集め、単独1位で化石賞を受賞した日本には石炭の入ったトロフィーが贈られました。

言うまでもなく、石炭は温室効果の高い化石燃料。日本がその火力発電所の増設を「気候変動防止」だと主張する根拠は「発電効率が高い」という点です。

しかし、効率が良いとはいえ、燃料が石炭であることに変わりはありません。しかも、支援対象が、既存の石炭火力発電所の効率改善などではなく、新設であることも、国際的な批難を集めています。

この問題についてWWFも、支援の使途として、気候変動を引き起こす化石燃料にではなく、気候変動を緩和させる再生可能エネルギーを優先すべきとして、そのルールを明確にすべきことを求めました。

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)も、温暖化の深刻な脅威を避けるためには、燃料を石炭から天然ガスに替えるしかないと警鐘を鳴らす中で、こうした資金支援がどのように使われるべきなのか。日本の姿勢が問われています。

化石燃料への投資の中止を求めるユースのアクションも行われた

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自然保護室長(気候エネルギー・海洋水産・生物多様性・金融)
山岸 尚之

立命館大学国際関係学部に入学した1997年にCOP3(国連気候変動枠組条約第3回締約国会議)が京都で開催されたことがきっかけで気候変動問題をめぐる国際政治に関心を持つようになる。2001年3月に同大学を卒業後、9月より米ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策の修士プログラムに入学。2003年5月に同修士号を取得。卒業後、WWFジャパンの気候変動担当オフィサーとして、政策提言・キャンペーン活動に携わるほか、国連気候変動会議に毎年参加し、国際的な提言活動を担当。2020年より自然保護室長。

京都議定書が採択されたときに、当地で学生だったことがきっかけでこの分野に関心をもち、大学院を経てWWFに。以来、気候変動(地球温暖化)という地球規模の問題の中で、NGOがどんな役割を果たせるのか、試行錯誤を重ねています。WWFの国際チームの中でやる仕事は、大変ですがやりがいを感じています。

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WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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