「適応」のギャップを埋めよう
2014/12/07
国連気候変動会議の会場、ペルーのリマより、温暖化担当の小西です。
会期が中盤に差しかかったCOP20の会場に、猛烈な台風22号がフィリピンに接近し、50万人もの人が避難しているというニュースが飛び込んできました。
この数年、フィリピンは毎年のように大型台風に見舞われています。昨年のCOP19の直前にも台風30号の直撃を受け、フィリピンの交渉官は涙を流しながら交渉の進展を訴えました。
このような強大な台風など一つ一つの極端な気象現象が、どの程度温暖化の影響であるかを明言することはできません。しかし、温暖化が進むと、 台風などの嵐が強大化し、海面上昇とあいまってより深刻な被害をもたらすことが予想されています。
そのため、すべての国が温暖化を抑制する「緩和」を行ないながら、深刻化の一途をたどる温暖化の影響にどう対応するかという「適応」を進めなければなりません。
しかし、この「適応」には「緩和」ほど高い関心が寄せられていません。
5日、WWFインターナショナルは「3つのギャップ」と題する記者会見を開き、緩和・適応・資金の3分野でそれぞれ求められている水準と現状とのギャップを指摘し、特に適応のギャップを埋める必要性を訴えました。
この会見で、WWFインターナショナルのサンディップ・ライは、「先進国の緩和が不十分だと、途上国の温暖化被害が増大し、適応のコストも増大する。緩和と適応を切り離して考えることはできない。適応は緩和と同様に明確な達成目標を定め、2015年合意に入れるべきだ」と主張しました。
国際交渉の場で、世界がどうこの問題に取り組むのか、しっかりと議論し、その方向性を明確にすることは、解決に向けた重要なステップになります。
今回のリマでのCOP20では、他の論点と同様に、適応の議論の前進が期待されています。