気候変動への「適応」にかかるコストは?
2014/12/08
国連気候変動会議(COP20)の会場より、温暖化担当の小西です。
7日、UNEP(国連環境計画)が、温暖化の被害に対応する「適応」についての新しいレポートを発表しました。
その内容は、世界の国々が「適応」のため必要とする資金額は、これまでの想定を大きく上回るという衝撃的なものです。
気候変動の深刻な影響をくいとめるには、地球の平均気温の上昇を「2度未満(産業革命前に比べて)」に抑えることが必要とされており、国際社会もそれを目標としています。
しかしこのレポートでは、たとえこの「2度未満」という目標を達成したとしても、途上国全体で必要になる適応資金は、2025~2030年までに毎年1,500億ドル(18兆円)。
2050年までには2,500~5,000億ドル(約30~60兆円)に達する可能性があると指摘。
この規模は、これまでIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の評価に基づき「2050年までに毎年700~1,000億ドル(85~120兆円)」と予測されていた金額の、4~5倍に相当します。
これに対し、実際に2012~2013年の期間で、「適応」のため投じられた公的資金は、230~260億ドル(2.8~3.1兆円)。
その90%は途上国自らが、厳しい経済状況の中で支払っていたことが明らかになりました。
さらに、各国による温室効果ガスの排出削減目標は、全てを積み上げても、「2度未満」という目標を到達するレベルに達していないのが現状です。
7日に行なわれたサイドイベントでUNEPの研究者は、「たとえ2度目標を実現しても膨大な資金が必要だが、対策をおこたれば必要な金額は2倍にふくれあがる」と訴えました。
2週目を迎えたCOP20に参加する世界のリーダーたちには、この問題への真摯な対応が求められています。