COP20リマ会議が終了しました


南米ペルーの首都リマで開催されていたCOP20が終了しました。

先進国・途上国が入り乱れての熾烈な交渉が繰り広げられ、会期を一日半延長した日曜日の午前3時に、来年に合意すべき2020年以降の新しい温暖化対策の国際枠組みに向けて、非常に弱いながらもなんとか道筋をつけることができました。

今回、これほどまでに交渉が激烈となったのは、温暖化交渉における伝統的な「先進国対途上国」という対立の構造が変化し、すべての国を対象とした国際枠組みのために「新しい考え方」が必要となっているからです。

世界のWWFのスタッフたち。60人あまりが、政策提言チーム、広報チーム、マーチなどのイベントチームに分かれ、会議の流れを追いました。

来年のCOP21(パリ会議)で合意されるべき新しい2020年以降の枠組みに向かって、世界が新しい考え方を模索している中の「産みの苦しみの最中の交渉」といえるでしょう。

すべての国を対象とするといっても、当然まだまだ先進国と途上国の責任や能力の差は歴然です。

さらに途上国の中でも、先進国並みに開発が進んだ韓国、急激に開発が進んで排出量がうなぎ上りの中国など新興途上国、開発が遅れて温暖化の影響がより深刻化している低排出途上国など、それぞれの立場がここ20年で大きく差がつきました。

最後まで熾烈な交渉が繰り広げられたCOP20

それに伴い、今まで一枚岩で交渉に臨んできた途上国の中でも、大きく意見が異なるようになったのです。

多様化している途上国、それに先進各国とのあいだの新しい責任分担に向けた新しい「衡平性の概念」が必要とされており、世界各国は今大きく戸惑いながら、合意への道を模索している途上です。

COP20のため世界から集まったWWFのスタッフたちも、日々情報交換しながら朝から夜まで会場を走り回り、より高い着地点を目指して頑張りました。

最後は徹夜で、寝ていない目をこすりながら、会議の弱い結果に肩を落として失望する仲間もいました。

残念ながら今回の合意は、決して十分なものにはなりませんでしたが、それでも世界が2015年末のCOP21で新しい枠組みに合意する道筋はついたと言えると思います。

また勇気を奮い起こして、来年の合意に向けて頑張っていきたいと思います。(温暖化担当:小西)

私たちは未来を創る!世界中から集まった人々のメッセージ

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専門ディレクター(環境・エネルギー)
小西 雅子

博士(公共政策学・法政大)。米ハーバード大修士課程修了。気象予報士。昭和女子大学特命教授、京都大学院特任教授兼務。
中部日本放送アナウンサーなどを経て、2005 年に国際 NGO の WWF ジャパンへ。専門は国連における気候変動国際交渉及び国内外の環境・エネルギー政策。2002 年国際気象フェスティバル「気象キャスターグランプリ」受賞。環境省中央環境審議会委員なども務めている。著書『地球温暖化を解決したい―エネルギーをどう選ぶ?』(岩波書店 2021)など多数。

世界197か国が温暖化対策を実施する!と決意して2015年に国連で合意された「パリ協定」の成立には感動しました!今や温暖化対策の担い手は各国政府だけではなく、企業や自治体・投資家・それに市民です。「変わる世の中」を応援することが好きな小西です♪

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