日本が「本日の化石賞」を3つも受賞...
2015/06/05
温暖化担当の小西です。
気候変動に関する国連会議の補助機関会合のために、ドイツ・ボンに来ています。
今回の会議では、年末のパリでの会議(COP21)で合意される予定の、新たな温暖化対策の国際枠組みのドラフトを整理していくことになっています。
なかなか進まないのはいつものことなのですが、そんな中、会議の一週目の4日目に、なんと日本が「本日の化石賞」を3つも受賞してしまいました。
これは気候変動に関する世界のNGO900団体が所属するCANインターナショナルが、最も交渉を妨げる国に贈る不名誉な賞です。
そもそも6月の補助機関会合では、めったに化石賞が出ないのですが、それを一気に3つも単独受賞してしまうのは、過去にもあまり例がありません。
理由は
1) 日本の2030年の新しい目標案が発表されましたが、それが不十分であること。しかも、基準年をずらして見かけ上の排出削減の数値をかさ上げし、この2030年目標案が公平で野心的であるとし、さらに「先進国で2050年までに80%削減」という長期目標に沿うと説明もなくうたっていること。
2)6月7、8日に開催されるG7ドイツ会合において、公的な開発援助機関および開発銀行が「世界気温上昇2度未満」に沿うように融資をする基準を作るという提案を妨げたこと。つまり日本は、今後もCO2排出量の多い石炭火力発電などに融資をしていきたという意図があるとみられます。
3)途上国において、CO2を大量に排出する石炭火力発電プロジェクトを資金支援していることです。
ドイツで開催されるG7において、気候変動は最大の関心事の一つです。
ここからなんとかいいメッセージが出て、気候変動の国際交渉も前進してほしいものです。
その願いを込めて、G7における日本の振る舞いも、世界の市民社会は注視しています。
交渉の足を引っ張る方で有名になるのではなく、野心的な目標を持って世界をリードしていく日本であってほしいと心から願っています。