パラオの海と地球の歴史の生き証人


ブログにテレビネタばかり書いているトラフィックの若尾です。

ある日、南太平洋の島国パラオのリゾートを紹介する番組を、いいなぁと思いながら見ていると、なんとそこに知った顔が!

現在、世界各地を旅している「#旅する60パンダ」のうちの1匹の名付け親、アサップさんの姿があったのです。

パラオの水族館で主任を務めるアサップさんにお会いしたのは今年の1月のこと。

早速連絡してみたら、なんでも飼育展示の為に、政府の許可を得てオウムガイを採集しているところへ、たまたま番組の取材班がやって来たということでした。

パラオの水族館でお会いしたアサップさん。手にしているのは自分の名をつけた「#旅する60パンダ」の「Asap」。

実はこのオウムガイ、昨年秋の第17回ワシントン条約締約国会議(CITES COP17)で全科が附属書Ⅱに掲載され、保護のために国際取引が規制されることが決まりました。

オウムガイやその製品は、米国や欧州、生息地である熱帯各地の国内市場で数多く取引され、それが減少を引き起こしている可能性があるためです。

私たちトラフィックも昨年発表した報告書「AN INVESTIGATION INTO THE TRADE OF NAUTILUS(オウムガイの取引調査)」の中で、特にインターネットを使った取引が増加していることを明らかにし、こうした問題が種の存続を脅かしていることを指摘しました。

オウムガイ。昨秋のCITES COP17で国際取引が規制されることになった

オウムガイは成長が遅く、子孫を残すのにも時間がかかるため、過剰に捕獲されると、その影響を強く受けやすい動物だと考えられています。

数億年前からその姿を変えず、生きた化石とも呼ばれるオウムガイ。

私も日本の熱帯魚ショップで販売されているのを見たことがありますが、小さな水槽にたゆたう姿より、90本もあるという触手を操りながらパラオの青い海を泳ぐ姿の方が、ずっと素敵だと思いませんか?

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オウムガイの断面図。中心に向かって室が分かれており、空気を出し入れして気圧を変化させることで、海の中を浮いたり沈んだりしている。

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
若尾 慶子

修士(筑波大学大学院・環境科学)
一級小型船舶操縦免許、知的財産管理技能士2級、高圧ガス販売主任者、登録販売者。
医療機器商社、海外青年協力隊を経て2014年入局。
TRAFFICでペット取引される両生類・爬虫類の調査や政策提言を実施。淡水プロジェクトのコミュニケーション、助成金担当を行い、2021年より野生生物グループ及びTRAFFICでペットプロジェクトを担当。
「南西諸島固有の両生類・爬虫類のペット取引(TRAFFIC、2018)」「SDGsと環境教育(学文社、2017)」

子供の頃から生き物に興味があり、大人になってからは動物園でドーセントのボランティアをしていました。生き物に関わる仕事を本業にしたいと医療機器業界からWWFへ転身!ヒトと自然が調和できる世界を本気で目指す賛同者を増やしたいと願う酒&猫好きです。今、もっとも気がかりな動物はオガサワラカワラヒワ。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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