豊かな恵みをくれる干潟を守るために


中国と朝鮮半島に囲まれた海、黄海。

毎年多くの渡り鳥が、この海辺に食料補給や休息のため国境を越え、はるばるやってきます。

先日、その黄海北部の沿岸域、中国遼寧省にある鴨緑江干潟に行ってきました。

春には何万羽ものシギやチドリの群れで賑わうこの干潟ですが、今の時期は、夏の間をここで過ごすカモメの姿が目立つばかり。

やっと見つけた!チュウシャクシギ

しかし、目を凝らし、カメラのズーム機能を駆使して必死に探すこと小一時間。

十数羽程度でしたが、ダイシャクシギやチュウシャクシギなどの渡り鳥たちを見つけることができました。

さらに、延々と広がる干潟の上には、たくさんの貝やカニと、それを収穫している人々の姿も。

さまざまな生き物の息づくこの干潟の恵みを、鳥や人が共に利用している様子が、とても印象的でした。

干潟の表面にいるヤマトオサガニたち

しかし一方で、鴨緑江干潟では埋め立てなどの沿岸開発により、自然の豊かさが失われています。

また、環境や資源に配慮しない漁業も、干潟の生態系やこの場所を利用する鳥たちに負の影響を与えています。

こうした問題は、決して中国や韓国だけの問題ではありません。

日本の食卓にものぼる、アサリをはじめとした貝類の多くが、この黄海で生産されているからです

漁獲されるアサリ。日本にもたくさん輸出されています

私たちは今、黄海の鴨緑江河口のアサリ漁業を、自然環境に配慮した「持続可能な漁業」へと改善する取り組みを行なっています。

夏が終われば、鴨緑江の干潟は、シベリアから渡ってきた秋の渡り鳥の群で、また賑わうことでしょう。

鳥たちが海を越えて渡るように、私たちも国境をこえて豊かな恵みの海を守る活動を進めていきたいと思います。
(自然保護室 吉田)

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自然保護室(海洋水産)
吉田 誠

チリ、インドネシア、中国のフィールドプロジェクトを担当。

田舎生まれの田舎育ち。こどもの頃から自然の中で遊ぶことが好きで、自然を守る仕事がしたいと思っていたところ、WWFと出逢いました。海の環境、海の生きものを守るため、頑張ります。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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