ワシントン条約締約国会議(COP17)閉幕報告出しました
2016/10/17
トラフィックの西野です。
今月4日まで、約2週間におよび開かれていたワシントン条約の締約国会議(COP17)が終了しました。
およそ3年毎に開かれるこの国際会議では、野生生物を過度な取引から守るため、加盟する国の代表団が集結してさまざまな課題を協議します。
WWFにとって、そしてこの条約の施行のため、野生生物の取引調査や、データの収集・分析を行なう組織として設立された私たちトラフィックにとっても、活動のヤマとなる国際会議です。
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今回の会議のロゴ。ヒトを含めたさまざまな生きものが一つの絵をつくっています。
今回も、各国から集まったスタッフたちが、データの提供や、協議での発言、審議のサポートに奔走しました。
また最近は、条約事務局が会議の様子をオンラインでライブ配信するようになったため、日本からも議論の進展が追えるようになりました。
ところが、今回の会議場となった南アフリカとの時差が7時間!
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オープニングセレモニーの様子。
そのため日本では16時~24時30分という時間に、皆でパソコンの前に張り付くことになってしまいました。
現地の仲間からの毎日のリポートや議事録で結果は把握できますが、その場の雰囲気までは実際に聞いていないとやはりわかりません。
力のこもった発言の後に起こる拍手や、感極まって涙ぐんでしまう政府代表の姿などには、その提案が行なわれるに至った背景や、それぞれの国が抱える利害関係、また課題の複雑さを感じました。
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会議終了時の様子。議事をつとめた南ア政府にねぎらいと称賛の拍手が送られました。
今回のCOP17では、これまでワシントン条約の会議の中心だったアフリカゾウやサイ、サメといった個々の野生動植物の保全に加え、「飼育繁殖」や「合成製品」のような国際取引の問題に大きな影響を及ぼすテーマについて、踏み込んだ議論と合意が行なわれました。
詳しくは、報告をお読みいただければと思いますが、その中で、各国の利害関係に左右されず、野生生物の保護を求めて活動できる、自分たちの役割を改めて認識した(そして寝不足になった!)2週間でした。
次回の会議は2019年にスリランカで開催予定です。
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今回の会議で保全方針が大きく前進したセンザンコウの着ぐるみ。これからの実際の活動が注目されます。