ワシントン条約締約国会議(COP17)閉幕報告出しました


トラフィックの西野です。
今月4日まで、約2週間におよび開かれていたワシントン条約の締約国会議(COP17)が終了しました。

およそ3年毎に開かれるこの国際会議では、野生生物を過度な取引から守るため、加盟する国の代表団が集結してさまざまな課題を協議します。

WWFにとって、そしてこの条約の施行のため、野生生物の取引調査や、データの収集・分析を行なう組織として設立された私たちトラフィックにとっても、活動のヤマとなる国際会議です。

今回の会議のロゴ。ヒトを含めたさまざまな生きものが一つの絵をつくっています。

今回も、各国から集まったスタッフたちが、データの提供や、協議での発言、審議のサポートに奔走しました。

また最近は、条約事務局が会議の様子をオンラインでライブ配信するようになったため、日本からも議論の進展が追えるようになりました。

ところが、今回の会議場となった南アフリカとの時差が7時間!

オープニングセレモニーの様子。

そのため日本では16時~24時30分という時間に、皆でパソコンの前に張り付くことになってしまいました。

現地の仲間からの毎日のリポートや議事録で結果は把握できますが、その場の雰囲気までは実際に聞いていないとやはりわかりません。

力のこもった発言の後に起こる拍手や、感極まって涙ぐんでしまう政府代表の姿などには、その提案が行なわれるに至った背景や、それぞれの国が抱える利害関係、また課題の複雑さを感じました。

会議終了時の様子。議事をつとめた南ア政府にねぎらいと称賛の拍手が送られました。

今回のCOP17では、これまでワシントン条約の会議の中心だったアフリカゾウやサイ、サメといった個々の野生動植物の保全に加え、「飼育繁殖」や「合成製品」のような国際取引の問題に大きな影響を及ぼすテーマについて、踏み込んだ議論と合意が行なわれました。

詳しくは、報告をお読みいただければと思いますが、その中で、各国の利害関係に左右されず、野生生物の保護を求めて活動できる、自分たちの役割を改めて認識した(そして寝不足になった!)2週間でした。

次回の会議は2019年にスリランカで開催予定です。

今回の会議で保全方針が大きく前進したセンザンコウの着ぐるみ。これからの実際の活動が注目されます。

関連情報

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自然保護室(野生生物 グループ長)、TRAFFIC
西野 亮子

学士(芸術文化)
2009年よりTRAFFICにて広報分野を中心に従事し、イベント運営、出版物作成などワシントン条約に関する普及啓発に努める。2016年からは重点種(特に注力すべき種)プログラム推進に携わり、取引を中心とした現状調査を担当。2018年以降は、関係する行政機関や企業へ働きかけ、取り組み促進を促す活動に従事し、野生生物の違法取引(IWT)の撲滅、持続可能ではない野生生物取引削減を目指す。ワシントン条約第70回常設委員会参加。東京都象牙取引規制に関する有識者会議委員(2022年3月終了)

「野生生物を守る」ことを起点に、そこに暮らす人、その場所の環境、そして利用する側の意識、すべての段階で取り組みが必要です。生息地から市場まで、それらを繋ぐことが私の役割です。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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