© Marcelo Flores / WWF Chile

鮭だけじゃない、日本の食とチリの海の関係


11月11日は「鮭の日」ということで、日本のサケ(サーモン)の消費が、チリの海に支えられていることをご紹介しました。

鮭の日に考える日本の食とチリの海

サーモンは人気のシーフードの一つですが、「私はあまりサーモンを食べない」、「そもそもシーフードよりもお肉の方が好き」といった方もいらっしゃるかと思います。

そういった方にとっては、自分の食とチリの海とは関係ないと思われるかもしれませんが、気づかないところでつながっているかもしれません。

チリの生物多様性の豊かな海を象徴するチリイルカ。世界でチリの沿岸域にのみ生息する固有種です。
© Sonja Heinrich / WWF Chile

チリの生物多様性の豊かな海を象徴するチリイルカ。世界でチリの沿岸域にのみ生息する固有種です。

チリの生物多様性の豊かな海を象徴するマゼランペンギン。チリを含む南米大陸南部の沿岸で繁殖しています。
© Marjorie Fuentes / Yacupacha / WWF Chile

チリの生物多様性の豊かな海を象徴するマゼランペンギン。チリを含む南米大陸南部の沿岸で繁殖しています。

チリの海の豊かな生態系を支えているのは、アンチョベータ(ペルーカタクチイワシ)などの小魚。

チリイルカやマゼランペンギンなどの大切な食物になっています。

こうした小魚は、粉末状の魚粉(フィッシュミール)といった形に加工されて、日本にも輸出されています。

しかもチリは、日本の魚粉輸入量(2022年)の13%を占める、1位のペルーに次ぐ重要な国です。

そして輸入された魚粉は、養殖や畜産用の餌の原料、また農業用肥料の原料として使われていて、日本の食料生産を支えているのです。

アンチョベータ(ペルーカタクチイワシ)の群れ。チリ南部の海は、南極から北上するペルー海流(フンボルト海流)と深層から湧き上がる湧昇流によって、プランクトンやそれを主食とするアンチョベータなどの小魚が豊富にいます。
© Santiago Cabral/Silverback/Netflix

アンチョベータ(ペルーカタクチイワシ)の群れ。チリ南部の海は、南極から北上するペルー海流(フンボルト海流)と深層から湧き上がる湧昇流によって、プランクトンやそれを主食とするアンチョベータなどの小魚が豊富にいます。

しかしチリでは、小魚の過剰な漁獲や、ペンギンなど海の生きものが誤って漁網にかかり命を落とす「混獲」など、生態系への影響が心配されています。

私たちは、チリの生物多様性の豊かな海を守っていくためにも、この小魚の漁業をサステナブルにするための取り組みを進めています。

「私はあまりサーモンを食べない」、「そもそもシーフードよりもお肉の方が好き」といった方も、食でつながるチリの海での保全活動にぜひご関心をお持ちいただけると幸いです。(海洋水産グループ 吉田)

海流の贈りもの

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自然保護室(海洋水産)
吉田 誠

チリ、インドネシア、中国のフィールドプロジェクトを担当。

田舎生まれの田舎育ち。こどもの頃から自然の中で遊ぶことが好きで、自然を守る仕事がしたいと思っていたところ、WWFと出逢いました。海の環境、海の生きものを守るため、頑張ります。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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