南三陸の海が、ラムサール条約の登録地に!
2016/11/04
2011年の東日本大震災で、養殖施設のすべてを失った宮城県南三陸の志津川湾。
ここでは震災後、カキの養殖を手掛ける生産者の皆さんが、震災前の過密養殖をやめ、海の環境に配慮した、質の高いカキ作りに取り組んできました。
今年3月には、この宮城県漁協志津川支所戸倉出張所のカキ養殖が、国際的な養殖版海のエコラベルである「ASC(水産養殖管理協議会)」認証を取得。
ASCラベルが貼られた戸倉産のカキ、通称「南三陸戸倉っこかき」は、全国のイオンやイトーヨーカドーの鮮魚コーナーでも、手に取れるようになりました。
また、今年は地元の漁協事務所横にある直売所「タブの木」でも販売が開始されたとのことです!
そんな海との共生をめざした取り組みが進む志津川湾で、もう一つ、世界に通じる話題が出てきました。
ラムサール条約への登録です。
この条約は正式名称を「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」といい、湿地の保全と再生、そして賢明な利用(ワイズユース)の推進を目的としています。
また各国の重要な保全湿地を「登録地」に指定し、国際的にその価値を明らかにする取り組みを行なっています。
そして今回、志津川湾が、寒海性のコンブの南限域と暖海性のアラメの北限域が重なる貴重な海域として、その登録地となることが決まりました。
志津川湾は2010年、すでに環境省により、条約登録地の潜在候補地に選定されていたほか、国の天然記念物であるコクガンの集団越冬地としても知られた場所。
さらに、ASC認証の目指す持続可能な漁業の推進は、条約の目的である「ワイズユース」に共通するものです。
2018年に予定されている次回の条約会議までに、地元自治体では、関係者の合意と法的手続き(国指定保護区への登録など)を進める予定とのこと。
志津川湾の自然を活かした復興が、世界の先進的な取り組みとして認められるように。
私たちもサポートしていく予定です。(自然保護室 前川)