「神は細部に宿りたまう」問われるパリ協定のルール作り
2016/11/10
国連の気候変動会議COP22が開かれている、アフリカのモロッコ、マラケシュより温暖化担当の小西です。
3日目を迎えたマラケシュの朝は、アメリカ大統領選挙の結果を伝えるニュースとともに明けました。
新政権の誕生によって、中国と同時に早期に批准してパリ協定の発効にはずみをつけ、近年の国際交渉をリードしてきたアメリカの温暖化防止政策がどうなるのか。
今後への影響に関心を寄せない人はいないでしょう。
しかしこの日、会場では、順調にスタートしたパリ協定のルールづくりを前進させる多くの会議が開かれ、粛々と策定作業が進められました。
パリ協定は、今世紀後半までに「二酸化炭素の排出ゼロ」をめざす長期目標を掲げています。
ただ、その目標を達成するための詳細なルールはまだ決まってはいません。
COP22は、そのルール作りに着手し、作業計画を策定する、初めての国連会議なのです。
ルールの内容は多岐にわたります。
たとえば、各国の今後の削減目標に何を盛り込むのか、という議題一つをとっても、ただ温室効果ガスの削減量だけでいいのか、それとも温暖化への適応計画も入れるのか、さらには途上国の削減行動を支援する資金拠出の額なども盛り込むのか、といった問題があります。
「神は細部に宿りたまう」といわれるように、パリ協定に実効性をもたせ、高く掲げた目標を実現するためには、それぞれの議題ごとに、具体的で詳細なルールを一つひとつ決めていくことが非常に重要なのです。
振り返れば、マラケシュは、京都議定書のルールを決めたCOP7の開催地でした。
そして今、2020年にパリ協定を始動させるべく、そのルールづくりが始まる地として、再び歴史に名を刻もうとしています。
私たちも議論の行方を見守りながら、パリ協定に魂を吹き込み、よりよい結果が引き出せるように、働きかけています。
最終日まで、ぜひご関心をもって見ていただければと思います。
関連情報
現地より動画配信中!
COP22会場より、WWFジャパンのスタッフが現地の様子をお届けしています。