「パリ協定」のカギとなる、2018年の「促進的対話」
2016/11/11
アフリカのモロッコ、マラケシュより温暖化担当の山岸です。
こちらで今開かれている国連の気候変動会議COP22では、2020年から始まる「パリ協定」のルールづくりが進められています。
パリ協定が掲げる目標は、世界の平均気温の上昇を、産業革命と比べ2度~1.5度以下に抑える、というものです。
これが実現できないと、地球の自然や社会、経済などは、温暖化による深刻な打撃を受けると警鐘が鳴らされているためです。
ですが現在、各国が国連に提出している、温室効果ガス(二酸化炭素(CO2)など)の削減目標では、パリ協定の目標達成に必要な削減分に届きません。
つまり、現状のままでは、温暖化はさらに進行してしまう、ということです。
そのため、パリ協定がスタートする2020年までに、各国は削減目標を引き上げる必要があります。
このため昨年のCOP21では、2018年に「促進的対話」を行なうことが決まりました。
各国の削減目標の合計で、本当にパリ協定の目標が達成できるのか。
これを5年ごとに評価し、必要であれば各国の目標を見直して引き上げる、その最初の大事なステップが、2018年の「促進的対話」なのです。
しかし、その内容の詳細はまだ決まっていません。
私たちは今回のCOP22でも、特にこの問題を重視し、各国の政府代表に議論を進めるよう求めています。
こうした取り組みが功を奏したのか、温暖化の脅威に直面している小島嶼国連合が促進的対話」についての議論を会議で提案。
COP議長からはパリ協定締約国会議の決定案に盛り込む案が出されるなど、明るい兆しが見え始めました。
パリ協定が、本当に世界の温暖化を防止できる、実効性のある約束になるのか。
それは、この「促進的対話」を通じた、削減目標見直しの実現にかかっているといっても過言ではありません。
最終日まで注目しながら、働きかけを続けてゆきたいと思います。
関連情報
現地より動画配信中!
COP22会場より、WWFジャパンのスタッフが現地の様子をお届けしています。