「パリ協定」が拓く未来
2016/11/12
アフリカのモロッコ、マラケシュより温暖化担当の小西です。
こちらで今開かれている国連の気候変動会議COP22会場は、会議場のあるブルーゾーンと、展示場のあるグリーンゾーンで構成されています。
このグリーンゾーンは市民団体や企業などが展示を行なっているエリアで、連日、多くのマラケシュ市民で賑わっています。
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展示されているオランダの大学が制作したソーラーカー。搭載する太陽電池は1500Wで走行距離は400km。晴れていれば800kmに伸びるそうです
特に目立つのは、洗練された産業界の展示。
エネルギー機器メーカーやエネルギー事業者、銀行などの投資機関などが出展しており、いたるところでセミナーも開催されています。
まるで産業見本市、あるいは再エネ博覧会といってもいいでしょうか。
私も長年、国連の温暖化会議に参加してきましたが、このような光景は初めてです。
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砂漠に建設された太陽光発電所の模型。モロッコ政府は、太陽光などの再生可能エネルギーの設備容量に占める割合を2020年までに42%、2030年までに52%に高める目標を掲げました。その目標の実現を、多くの企業がビジネスの拡大に生かそうとしています
二酸化炭素の排出をゼロにすることを目指す、世界の合意「パリ協定」。
それは、石油や石炭などの化石燃料に頼らない、新しい経済システムへの移行を告げました。
この事実は同時に、産業界にとって、温暖化対策がもはや社会貢献ではなく、大きなビジネスチャンスになったことを意味します。
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モロッコの4大メガバンクの展示
会議場に戻ると、アメリカ大統領選の結果を受けた投資機関グループの記者会見やサイドイベントで、次のようなメッセージが発せられていました。
「気候変動のリスクは、投資のリスクでもある。投資機関がそのリスクを回避し、持続可能であり続けるには、エネルギー転換への投資が不可欠だ。誰が大統領になろうと、この潮流を変えることはできない」
再生可能エネルギーを主流とした、脱炭素経済というゴールに向けて、世界は走り出しています。
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マラケシュ市内からやってきた子どもたち。この展示場の光景は、何よりもよくパリ協定が拓く未来を示しています
関連情報
現地より動画配信中!
COP22会場より、WWFジャパンのスタッフが現地の様子をお届けしています。