誰がどう取り組むのか?問われるアユモドキの保全
2016/12/17
草刈です。
京都と岡山の一部にしか生息していない世界的な絶滅危機種アユモドキ。
昔ながらの水田に生きるこの日本固有の淡水魚は、長年地域の人たちの努力により守られてきました。
しかし、その最後の生息域の一つ京都府亀岡市では、京都スタジアム(仮称)の建設計画が持ち上がり、生存が危ぶまれています。
日本魚類学会やさまざまな自然保護団体が計画見直しを求めてきた結果、京都府は当初の建設予定地の変更を決定。
それでもアユモドキの生息域と建設予定地は隣接しているため、計画の影響が心配されます。
そうした中、京都府と亀岡市は先日、「亀岡市都市計画公園及び京都スタジアム(仮称)の整備計画の策定にあたり考慮すべき基本方針Ver.2」を発表しました。
専門家会議の提案を踏まえたその内容は、調査研究の結果や、一帯の水路でアユモドキ等の生息場所を保全する具体策などを含んだものになっています。
しかし、アユモドキの産卵に必要な水位調整に使われるラバーダムの運用や改修を誰が、どのように続けるのか、といった基本的な点が明記されていなかったり、同じ場所で進められる都市計画公園と京都スタジアムの整備計画での対応が別々に記載されていたりと、改善すべき点も多々認められます。
何よりアユモドキは京都府が自ら、条例で「指定希少野生生物」に指定している野生生物。
公園を含む生息域の周辺は「生息地等保全地区」などに指定し、亀岡市、環境省、文化庁とも役割分担を明確にしながら、積極的に保全する姿勢を示すべきです。
今回の基本方針に対し昨日、私たちは国内の55の団体と共同で、課題を指摘する意見書を提出しました。
大きな努力が傾けられる一方で、アユモドキの保全にはまだまだ懸念や課題が残されています。
意見書
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亀岡市都市計画公園及び京都スタジアム(仮称)の整備計画の策定にあたり考慮すべき基本方針(Ver.2)