スタジアム建設を強行!?危ぶまれるアユモドキの未来
2017/02/02
草刈です。
日本の京都府と岡山の一部にしか生息していない淡水魚アユモドキ。
世界的にも絶滅寸前の危機にある野生動物です。
しかし、その京都府亀岡市の貴重な生息地では、京都スタジアム(仮称)の建設が計画されてきました。
この計画については、アユモドキへの影響を評価する専門家会議が「配慮が不十分」であることを再三指摘。
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アユモドキ。IUCNのレッドリストで危機レベルが最も高い「CR(近絶滅種)」にランクされる、国際的な絶滅危機種。日本の固有種でもある。
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京都府亀岡市のアユモドキの生息地
さらに自然保護団体や市民団体からも強く見直しを求める声が上がり、京都府は昨年、建設予定地の変更を決定。
しかし、それも元の場所にすぐ隣接しており、危機はまだ懸念されていました。
そうした中、京都府は2月3日に急きょ、専門家会議を開催し、その後公共事業を認可する第三者委員会を招集。計画への合意と、事業認可を求める意向を表明しました。
通常、1カ月間はある一般に対する意見募集期間も、今回はわずか7日間。
専門家会議からいまだ「配慮が不十分」という指摘があるにもかかわらず、こうした強行に踏み切った背景には、事業予算を確保するリミットが迫っていることがあると見られます。
これまで、アユモドキ保全に関しては、多くの団体や魚類の専門家が、科学的な見解を踏まえた対応を求め続け、事業者の京都府や亀岡市もそれなりの努力をしてきたはずでした。
それにもかかわらず、このような判断がなされたことは本当に残念です。
これを受け、私たちは京都府知事と亀岡市長に対し、54の団体、機関と共同で緊急意見書を提示することにしました。
京都府は問題があれば計画を修正する、としていますが、建設が本格的に始まったら、そんなことはとても期待できません。
一度絶滅した野生動物は、完全によみがえらせることはできません。
京都府に対し、強く抗議の意を示したいと思います。
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スタジアムの建設予定地は昨年、土地区画整理事業地に変更されました。しかしアユモドキの生息域と同じ水系にあることは変わりないため、大規模な工事が行なわれた場合、どのような影響が出るか懸念されます。