「税関」という野生動物保護の現場で


皆さんは、税関と聞くと何をイメージされるでしょうか?
先月、横浜港で摘発された大規模な麻薬密輸事件? また、マスコットキャラクターのまん丸なカスタムくんでしょうか?

税関は、財務省に属する機関で、外国に輸出できる物や輸入してよい物について、国際的なルールがきちんと守られるよう、書類チェックや物品の検査をするところです。

輸出入が規制されるものには、麻薬など違法薬物や銃器、偽ブランド品などの他に、保護が必要な野生生物も含まれます。

ASEAN10ヶ国+日本語、中国語、モンゴル語 の13カ国語に翻訳されています!

例えば、トラの毛皮、ワニ革のベルト、象牙のアクセサリー、センザンコウが入った伝統薬、生きたスローロリスやランの鉢植えなど。

こうしたモノを意図的に密輸しようとする輩もいますし、ルールを知らずにうっかり買って来てしまう人もいます。

いずれの場合も、ルール違反が発生しないよう目を光らせるのが税関職員です。

税関で押収されたスローロリス

私たちトラフィックは、長く野生生物取引にかかるNGOとして、世界各地の税関でワシントン条約について解説したり、輸出入が規制される野生生物を見分けるスキルや情報を提供したり、海外の密輸の手口を紹介したりして、そのお仕事をサポートしてきました。

先日も、横浜税関と東京税関の職員向け研修に講師として参加。

これは経済産業省の職員や専門家を招いた研修で、国の水際をあずかる大変な仕事の合間を縫って行なわれたものです。

同じく押収されたインドホシガメ

真剣に違法な野生生物取引を取り締まろうとされている頼もしい職員の皆さんにお会いして、私たちも頑張らねば!と強く思いました。

税関もまた、野生動物保護の現場の一つです。

春休み、海外旅行を計画されている方は、お買い物の際にはくれぐれも気を付けて、税関でカスタムくんに呼び止められないようにしてくださいね。(トラフィック 若尾)

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税関の野生生物密輸防止啓発ポスター(出典:税関のウェブサイト)

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
若尾 慶子

修士(筑波大学大学院・環境科学)
一級小型船舶操縦免許、知的財産管理技能士2級、高圧ガス販売主任者、登録販売者。
医療機器商社、海外青年協力隊を経て2014年入局。
TRAFFICでペット取引される両生類・爬虫類の調査や政策提言を実施。淡水プロジェクトのコミュニケーション、助成金担当を行い、2021年より野生生物グループ及びTRAFFICでペットプロジェクトを担当。
「南西諸島固有の両生類・爬虫類のペット取引(TRAFFIC、2018)」「SDGsと環境教育(学文社、2017)」

子供の頃から生き物に興味があり、大人になってからは動物園でドーセントのボランティアをしていました。生き物に関わる仕事を本業にしたいと医療機器業界からWWFへ転身!ヒトと自然が調和できる世界を本気で目指す賛同者を増やしたいと願う酒&猫好きです。今、もっとも気がかりな動物はオガサワラカワラヒワ。

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