COP22でも注目される「科学」と整合した企業の削減目標
2016/11/15
皆さん、こんにちは。温暖化問題担当の池原です。
モロッコ、マラケシュでの国連の気候変動会議COP22の会場で、先日、世界のリーダー企業によるビジネスイベントが開催されました。
これは、ビジネス界が各国政府に対し、温室効果ガスの排出削減を着実に進めるよう求めるとともに、自らが実践している意欲的な温暖化対策を発表するものです。
今回は特に、「Science Based Targets」(SBT)の下で、自社の削減目標を設定する意思を示した企業が、世界で約200社に達したことが明らかにされました。
SBTとは、WWF、CDP、国連グローバル・コンパクト、そして世界資源研究所(WRI)によるグローバルな共同イニシアチブで、パリ協定に貢献するような削減目標を、企業が設定することを推奨するもの。
そして、その削減目標が、パリ協定の示す「世界の気温上昇を2度未満に抑える」という目標に、科学的にも整合した目標であることを求めるものです。
SBTでは、2018年までに世界の多国籍企業を中心に250社を目指していますが、昨年のCOP21を契機に100社を突破、そして現在約200社と、産業界の取り組みは明らかに加速しています。
最近では、世界最大のスーパーマーケットチェーンのウォルマートが、自社の排出削減に加え、バリューチェーン全体の排出量を2030年までに10億トン減らすという目標を発表。小売業界で初のSBT承認を獲得しました。
またSBTには、トヨタ自動車や日産自動車、キリンホールディングスなど、約20社の日本企業も参加。
世界(約200社)の約10%をも占める勢いです。ソニーと第一三共の2社は、すでにSBTから承認も得ています。
パリ協定のもとでは、各国政府は削減目標を5年ごとに「科学」に基づいた検証を行ない、より高い目標を提出することが求められますが、同様の検証と対策は、このように企業の温暖化対策においても重視されるようになってきました。
COPという国際交渉の場でも注目されるビジネス界の動き。
私たちも、より多くの企業がSBTに参加し、世界の温暖化対策をリードしていくことを期待しています。
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