帰って来たイボイモリ!
2017/10/27
先日、爬虫類のペット取引調査のために沖縄へ行ってきました。
もう一つの目的は帰って来たウルトラマン!(若者は調べてください)ではなく、帰って来たイボイモリ!に会うこと。
これは南西諸島にだけ生息する日本の固有種で、天然記念物として保護されています。
ゴジラっぽい(?)姿からペットとしての人気があり、密猟や違法取引の対象となることも...
2015年11月には、日本から違法に持ち出されたイボイモリが、ベルギーの税関で差止られる、という事件がありました。
こうして保護された個体は通常、現地の保護施設などが引き取ります。
しかし、今回は希有なことに、現地の両生類の研究者と、WWFジャパンの理事でもある兵庫県立大学の太田英利教授がお知り合いで、お二人のご尽力により、イモリたちは日本に送り返されたのです!
その後、時間のかかる手続きを経て、2016年7月、やっと飼育設備のある「沖縄こどもの国」に収容。
その後も、1個体ずつ分けて飼育し、ツボカビ病などの感染症がないか注意深く観察したそうです。
ただ、残念ながら自然の中に戻される予定はありません。
こうした事例では、正確にどこで捕獲されたかなどの情報が無いことが多く、不用意に放すとすぐ死んでしまったり、その場所の生態系を壊す「外来生物」としての問題を引き起こすおそれも出てきます。
一旦捕獲された動物を野生に返すことは、生息地や生態が詳しく分からない限り、簡単にできることではないのです。
それでも、イボイモリたちは日本に帰って来ることができました。しつこいようですが、このような幸運な例は本当に珍しいのです。