復興を通じて持続可能な漁業を目指す、志津川湾での特別授業


自然保護室の前川です。
10月17日、宮城県南三陸町で戸倉中学校が、宮城県漁協志津川支所戸倉出張所(戸倉漁協)で特別授業を実施。2学年16名の生徒の皆さんが参加しました。

これは、同校の総合的な学習の一環として、海と、地域の基幹産業である養殖漁業について、理解を深めるため行なわれたものです。

戸倉漁協は東日本大震災で養殖施設が全損したことをきっかけに、持続可能な養殖業への転換を目指して、養殖施設数の大幅削減などに取り組み、「暮らしと自然の復興プロジェクト」を通じた支援活動も行なっています。

授業はまず湾内の養殖現場まで行き、実際にカキやホタテがどのようにして育てられているかを見学しました。

志津川湾を代表する身近な海産物とはいえ、海の中で育つ様子を見るのは初めての生徒さんもおり、興味津々な様子で見入っていました。

カキは以前よりも養殖する密度を下げた効果なのか、順調に生育しており、わずか半年で出荷可能な大きさになっていました。震災以前は、2年はかかっていた(!)と言います。

その後、生徒の皆さんは、漁協の隣に新設された体験施設内で、震災後の漁協の取り組みについて学びました。

漁業者が震災後の新たな挑戦を地域の住民の皆さんに伝え、皆さんもまた、その意義を理解し支えてゆくことは、新たな漁業の試みを継続させていく上で、とても重要なことです。

今後、私たちも中学校での特別授業を通じて、海の現状や、養殖がもたらす環境への影響について伝えながら、海とのよりよい共存をめざす地元の取り組みを支援してゆきます。

 

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船上からカキやホタテの養殖場を見学する生徒の皆さん

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身が殻の縁まで詰まったカキ。

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震災後の取り組みを伝える戸倉漁協の方々

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自然保護室(海洋水産 グループ長)
前川 聡

修士(動物学・北海道大学)
渡り性水鳥の全国調査および国際保全プログラムのコーディネーター業務、WWFサンゴ礁保護研究センター(沖縄県石垣島)での住民参加型の環境調査および普及啓発業務、海洋保護区の設定および管理状況の評価業務等に従事後、2011年より東日本大震災復興支援プロジェクトと水産エコラベルの普及および取得支援に携わる。養殖業成長産業化推進協議会委員。

日本各地の漁師町を訪ねては、持続的な養殖や漁業の推進のために関係者の方々と話し合いをしています。道すがら、普段はなかなか見ることができない風景や鳥を見つけては、一人ほくそえんでいます。もちろん、新鮮な魚介とお酒も! 健康診断の数値が気になるAround Fifty

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