野生動物たちを守る「アニマルパスウェイ」の10年


先日、東京の経団連会館で開かれた「アニマルパスウェイ10周年記念 シンポジウム 広げよう「野生動物の歩道橋」コリドーで繋ぐ森と命」に参加してきました。

アニマルパスウェイとは、道路建設などで分断された野生動物の生息域をつなぐもので、自然環境の「つながり」を保持し、野生動物を交通事故から守る役目なども果たすものです。

このアニマルパスウェイは、日本で生まれた発想なのですが、その先駆者となったのが、「ヤマネの湊さん」で知られる湊秋作さんです。

天然記念物のヤマネの研究と保護に長年尽力され、今は山梨のキープ協会にある「やまねミュージアム」の館長を務めていらっしゃいます。

私にとっては30年近くお付き合いのある、古くからの友人で、WWFジャパンの助成事業でも長い間お世話になりました。

この湊さんが、ヤマネやリスなどの小動物が、道路で分断された森と森を、安全に往き来できるようにと「歩道橋」、つまりアニマルパスウェイを作ったのが、今から10年前のことでした。

研究者と企業、そして、助成支援してきた経団連やWWFなどの力と知恵と経験の結晶として誕生した、この日本ブランドの「アニマルパスウェイ」の技術。

今では世界に輸出され、生命と生命を繋ぎ、自然を守る確かな手法として広がりつつあるこの取り組みは、賞賛に値する価値があります。

そして湊さんのお人柄が、多くの人々をつなげ、ネットワークとして広げてゆく、大きな原動力になったことは間違いありません。

それをあらわすかのように、記念シンポジウム会場は、大入り満員、懇親会も大盛況でした。

自然や野生動物を守るこうした取り組みを、これからもさまざまな協力のもとで、より大きなものにしてゆければと思います(草刈)

森を通る道路。植生の分断は、動物たちの動きも分断してしまいます。

シンポジウムでの湊秋作さん。すばらしい司会でした!

この記事をシェアする

自然保護室 国内グループ所属
草刈 秀紀

日本の自然保護にかかわる法制度の改善をめざす取り組みを行なっています。

子どもの頃から動物が好きで、農業者でもないのに農業高校の畜産科に行き、上京して大学時代に多くの自然団体の会員になりました。野生のエルザのゲームワーデンにあこがれ、32年前に職員になりました。最近は、永田町を徘徊しています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP