大都市圏に残る渡り鳥たちの水辺をめぐって
2014/11/20
秋も深まり、町の中でもちらほらと冬鳥の姿を見るようになってきました。これから特に増えてくるのが、海辺や川べりでよく見られる水鳥たちです。
そうした鳥たちが数多く集まる、首都圏でも代表的な場所の一つが、東京と神奈川の県境を流れる多摩川河口。
ここは、今も豊かな生物多様性が保たれている希少な湿地で、シギ・チドリ類をはじめ多くの水辺の生き物が暮らしており、環境省の「日本の重要湿地500」にも「東京湾奥部」として谷津干潟(千葉県習志野市)や東京港野鳥公園(東京都大田区)とともに指定されています。
ところが、今年9月8日に内閣府により開催された「羽田空港周辺・京浜臨海部連携強化推進委員会」において、多摩川河口に新たな橋を建設する計画が急浮上してきました。
これは、当初計画にあった国道357号線(通称、湾岸道路)の延伸の他に、大田区と川崎市を結ぶ新たな橋を建設するというものです。
そして今、この計画が住民や科学者などの関係者と意見交換もなされないまま、進められようとしています。
そこで先日、日本野鳥の会、日本自然保護協会と共同で、本計画に対する意見書を提出しました。
新たな橋の建設は本当に必要なのか。それによる自然環境や野生生物への影響は無視できるほど軽微なのか。専門家をはじめ多様な関係者の意見を集め、きちんと議論を重ねるべきではないでしょうか。
私たちとしても計画の見直しと、「多摩川河口干潟」の環境保全を目的とした公開の場での議論、そして「生物多様性保全エリア」として位置づけ、整備保全することを求めてゆきたいと思います。(自然保護室:前川)
▼日本野鳥の会神奈川支部のサイト
こちらでは、本計画に関する詳しい説明と署名活動を行なっています。こちらも合わせてご覧ください。