サイたちが生きる景観の中に


クロサイ。南アにて撮影

この写真は、私たちの事務局のスタッフが南アフリカへ旅行に行った時、撮影したクロサイです。

もちろんプロの写真家ではないですが、よく写っています。距離も近かった模様。

こうしたサイの映像や写真は、他でもしばしば目にしますが、そのほとんどはアフリカのシロサイかクロサイです。

開けたサバンナなどにすむこの2種については、食物や行動圏の広さ、子育て、縄張りをめぐる行動など、生態もよく研究されており、情報が保護にも役立てられています。

ボルネオにて。森の中でのカメラの設置

しかし、東南アジアの熱帯林にすむスマトラサイの場合、そうは行きません。

彼らが動き回っているのは、平面的なサバンナではなく、樹高60メートルにもなる木々が連なった三次元の空間。当然見通しは悪く、行動しにくいため、調査や追跡すること自体が困難です。

特に数の少ないスマトラサイは、長年研究に携わっている研究者でも、実際に姿を目にすることは稀だとか。

そうした場所での調査を支えているのが、自動カメラやビデオです。

スマトラのバリサン・セラタン国立公園で自動カメラが捉えた
スマトラサイ。成功までに長い年月を要しました

センサーが反応すると撮影する仕組みになっていて、人が張り付いていなくても、森を往来するさまざまな野生動物の姿を捉えることができます。

一昔前までは、フィルムが切れると、それっきり撮影できませんでしたが、今ではデジカメと大容量のメモリーカードのおかげで、かなりの時間、枚数を撮影できるようになりました。

もっとも、川を遡り、密林を踏査して行なうその回収が大変であることに変わりはありません。また大量の画像をチェックするのも一苦労です。

そして時には、そんな映像や画像に、銃を手にした密猟者が写ることもあります。

こんな一枚を、サイたちが生きる自然の景観の中から、何としても消してゆきたいものです。(広報室:三間)

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

学士(芸術学)。事務局でのボランティアを経て、1997年から広報スタッフとして活動に参加。国内外の環境問題と、保全活動の動向・変遷を追いつつ、各種出版物、ウェブサイト、SNSなどの編集や制作、運用管理を担当。これまで100種以上の世界の絶滅危惧種について記事を執筆。「人と自然のかかわり方」の探求は、ライフワークの一つ。

虫や鳥、魚たちの姿を追って45年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの30年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと願っています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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