シベリアトラ調査のためのハンドブック!?


※2023年6月26日をもって、WWFロシア(Vsemirnyi Fond Prirody)はWWFネットワークから離脱しました。

自然保護室の川江です。
先日から何回かご報告してきました、シベリアトラの総個体数調査が、極東ロシアでいよいよ始まりました。

この調査は10年に一度の大規模なもので、今後の保護活動の方向性にも大きく影響する重要な取り組みになります。

その現場であるロシアから先日、シベリアトラ調査のためのハンドブックが送られてきました。

ハンドブックといっても、映像で作られたものです。

なぜこのようなものが必要になるのか?というと、今回の調査には2,000にものぼる調査員が参加するためです。

彼らは雪の上に残った足跡を記録しながら、実に15万平方キロ(オランダの国土の3倍!)という広大な調査エリアに散って、情報を集めます。

その情報や、収集の手法にばらつきがあっては、せっかく集めたデータもその確実性を欠いてしまいます。

今回は、10年前の前回は対象外だったエリアからも、調査員が参加することになっており、そうした点でも、データの誤差や誤りを可能な限りなくす努力が求められます。

そんなわけで、こうした分かりやすいビデオのハンドブックが作られた、というわけです。

これを作成したのは、WWFと共に、自動カメラによる動画を使ったアムールヒョウ調査に取り組んでいるロシアのドキュメンタリー制作会社「Zov Taigi」で、WWFロシアもその内容の監修に取り組みました。

ハンドブック、ではありますが、これを見ると、いかに過酷な現場で、厳しい調査が求められるかが伝わってくると思います。

野生動物の調査、というと何か平和なイメージがあるかもしれませんが、決してそのようなことはない!そんな現実も教えてくれる映像です。ぜひご覧ください。

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自然保護室長(森林・野生生物・マーケット・フード・コンサベーションコミュニケーション)、TRAFFICジャパンオフィス代表
川江 心一

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科修士課程修了。
小学生の頃に子供向け科学雑誌の熱帯雨林特集に惹きつけられて以来30年間、夢は熱帯雨林保全に携わること。大学では、森林保全と地域住民の生計の両立を研究するため、インドネシアやラオスに長期滞在。前職でアフリカの農業開発などに携わった後、2013年にWWFに入局。WWFでは、長年の夢であった東南アジアの森林保全プロジェクトを担当し、その後持続可能な天然ゴムの生産・利用に関わる企業との対話も実施。2020年より現職。

小学生の頃に科学雑誌で読んだ熱帯雨林に惹きつけられると同時に、森林破壊のニュースを知り「なんとかしなきゃ!」と思う。以来、海外で熱帯林保全の仕事に携わるのが夢でしたが、大学では残念ながら森林学科に入れず・・。その後、紆余曲折を経て、30半ばにして目指す仕事にたどり着きました。今でもプロジェクトのフィールドに出ている時が一番楽しい。

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