Hanna Kahranaho, Minna Kurjenluoma / WWF

5月22日は「国際生物多様性の日」生物多様性の世界的な動向と、今すぐできるアクション

この記事のポイント
私たち人の生活は、自然からの恵み(生態系サービス)に依存しています。しかし、生物多様性の喪失は過去50年間で68%減少。2030年までに生物多様性を回復の方向に向かわせることができれば、2100年までに深刻な自然の喪失を避けることができます。生物多様性の国際目標を含む世界の動向を解説し、5月22日の「国際生物多様性の日」をきっかけにアクションできることを紹介します。
目次

5月22日の「国際生物多様性の日」をご存じですか?
1992年5月22日に「国連生物多様性条約」が採択されたことを受け、世界の人々に生物多様性の危機と、その保全の大切さを考えてもらう記念日として制定されました。

世界の「生きている地球指数(LPI: Living Planet Index)」 出展:生きている地球レポート2020年(WWF)
© LPR2020/WWF

世界の「生きている地球指数(LPI: Living Planet Index)」 出展:生きている地球レポート2020年(WWF) © LPR2020/WWF

生物多様性の傾向を測る指標「生きている地球指標(LPI)」は、あらゆる生物種の個体数を基に、地球上の生態系全体の健全性を示しており、1970 ~ 2016 年の間に68%が減少したことを明らかにしました。

生態系サービスの種類
© LPR2016/WWF

生態系サービスの種類 © LPR2016/WWF

私たち人の生活は、自然からの恵み(生態系サービス)に依存しています。
生態系とは、生物多様性を含む各地の自然環境の成り立ちのことであり、生態系サービスによって、人間にとって役立つ生態系の機能や資源が得られています。

生態系サービスの身近な例をあげてみますと、例えば、図のような、水・食料、衣服の原料、インフラ・建材や、土壌の栄養循環、空気の浄化、ハチの受粉、などがあります。

関連リンク:生物多様性とは?その重要性と保全について

ネイチャー・ポジティブに向けた取組みが必要!

これまで人間の活動により、生態系は破壊され続けており、その理由の一つとして、生産や消費などの、人間の経済活動が挙げられています。

WWFではこの喪失を回復に向けるために「ネイチャー・ポジティブ」の実現に向けて取り組んでおり、特に下記の点を提唱しています。

  • SDGs(持続可能な開発目標)
  • 気候変動・カーボンニュートラル対策
  • コロナのような生物種からの感染症対策
  • 生態系サービスに依存しすぎない持続可能なビジネス

これら全てを、それぞれの国際目標通りに達成するためには、2030年までに生物多様性を2020年レベルにまで回復させる、ネイチャー・ポジティブを目指すことが不可欠です。
つまり、ネイチャーポジティブの考え方は、これらすべての国際目標と密接に関係しているので、無視して他の目標だけを達成することはできない、ということなのです。

関連リンク:A Nature-Positive World: The Global Goal for Nature

関連リンク:ネイチャー・ポジティブについて This is our one home ここは私たちのたった一つの故郷

具体的な対策としては、下のグラフから、自然を2020年の状態にまで回復させるためには、2030年までに、生息地の保全、持続可能な「消費」、持続可能な「生産」を進めていくことが重要です。

特に、「消費」スタイル・「生産」スタイルを変えなければ、2100年には、取り返しのつかない自然の喪失を迎えることが予測されています。

ネイチャー・ポジティブを2030年までに達成する

ネイチャー・ポジティブを2030年までに達成する ©Locke, H., Rockström, J., Bakker, P., Bapna, M., Gough, M., Lambertini, M., Morris, J., Zabey, E. & Zurita, P. (2021). A Nature-Positive World: the Global Goal for Nature, Naturepositive.org.

ネイチャー・ポジティブ達成のための必要なアクション

ネイチャー・ポジティブ達成のための必要なアクション ©WWF

2030年目標に向けた世界の動向

生物多様性の喪失を反転させるための、世界的な動きとしては、2022年夏には、国連生物多様性条約(CBD)の第15回締約国会議(COP15)が開催され、ポスト2020生物多様性枠組(GBF)が最終化される予定です。

生物多様性の2030年に向けた目標のための国際交渉
©WWF

生物多様性の2030年に向けた目標のための国際交渉

しかしながら、GBFの策定においては、いまだ限られた進展しか見られず、2030年までにすべきことと、交渉で決まってきたことの間に大きなギャップがあります。
そこで、WWFは2022年3月および5月に、CBDおよびCBD締約国に対し、「2030年までにネイチャー・ポジティブを達成するために、GBFがより野心的に具体的な目標と革新的なアクションを設定する」こと、および、「COP15の前に開催される、2022年6月の第4回公開作業部会では、GBFの締結に向けて、すべての締約国が野心的な目標に合意する」ことを提言し、変化を促すための数々の取り組みを実行しています。

関連リンク:国連生物多様性交渉に向けたWWF報告書『ギャップを埋める:政治的コミットメントを野心的な生物多様性枠組へ』

ひとり一人ができるアクション

2030年までに生物多様性が失われている状況を改善するために、私たち自身には何ができるでしょうか?
いますぐにできるアクションをご紹介します。

一度失われた自然は、二度と元には戻りません。
そのため、2030年までに人々がどんなアクションを起こすかによって、社会だけでなく、地球全体の生き物の未来を変えることができます。

生物多様性の日に、あなたは何を考えて、地球のために何を実行したいですか?
ぜひこの機会に考えてみてください。

この記事をシェアする

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP