2012年 WCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)年次会合はじまる
2012/12/03
2012年12月2日~6日、フィリピンのマニラで、WCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)の年次会合が行なわれています。今回の会合では、日本が特に多く消費しているメバチを中心としたマグロの資源管理をはじめする、前年より持ち越された課題が議題になります。WWFはこの会合で、日本をはじめ、太平洋の中西部でマグロの漁獲を行なっている加盟各国に対し、科学委員会による勧告を重視した、持続可能な資源の利用を求めています。
日本の沿岸を含めた太平洋海域でのマグロ資源管理のゆくえ
アジアからオーストラリア地域の沿岸を含む、中西部太平洋海域におけるマグロ類の資源管理のゆくえが今、注目されています。これは、マグロという生きものを含めた海の生物多様性と、その恵みに依存して生きる人々の暮らし、その双方にかかわる問題であり、資源と環境の保全が実現できるかが問われている課題です。
この海域のマグロ資源にかかわる国際的な機関WCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)の、第9回目の年次会合が、2012年12月2日~6日、フィリピンのマニラで開催されています。
日本をはじめとするWCPFCの加盟各国が、この会合で協働して実効性のある資源管理ための措置を採択し、その導入を実現できるかどうか。それが、太平洋のマグロの未来を左右する大きなカギになることは間違いありません。
そして、そのことは、メバチをはじめとする日本で多く消費されているマグロ類の資源保護と、持続可能な利用の実現が叶うかどうかを決めるものでもあります。
WWFは今回、WCPFCに対し、科学委員会や順守委員会による勧告、そして2011年の会合などで話し合われ、今も残されている課題について、確実に対応することを求めています。
保全と管理措置
基準点(Reference Points)
WWFはWCPFCに対し以下のことを求めます
- WCPFCが管理するすべてのマグロ類について、生物学的知見に基づく、予防的な限界管理基準値の採択すること
- 資源利用のレートを管理することを目的とした当座の限界基準値として、漁獲死亡率をベースとした予防的な限界基準値を採択すること
- 科学委員会(SC)に対し、2014年に予防的な目標管理基準値が検討されるよう、選択しうる範囲を示すよう働きかけること
漁獲管理方策
WWFはWCPFCに対し以下のことを求めます
- 科学委員会による勧告と管理に関するワークショップの結果を考慮し、ただちに2015年までにすべてのマグロ類について漁獲管理方策の導入がなされるよう議論を進めること
漁獲方針/戦略
WWFはWCPFCに対し以下のことを求めます
- 予防的な基準点と漁獲管理方策の策定とともに、科学的根拠に基づき頑強な漁獲方針の策定をすること
公海漁場の閉鎖について
WWFはWCPFCに対し以下のことを求めます
- 公海ポケットについて、WCPFCへのより厳格な報告とオブザーバー要件を備え、双方の合意による規則と管理措置を持つ「特別管理海域」を設定するようなプログラムを作ること
- 特別管理海域特有の隻日数による管理措置を検討し、すべての加盟国の努力量を測ること
- 公海ポケットに再入漁するすべての加盟国が、CMM2008-01改定による補足的な管理措置を導入し、同時に自国巻き網漁船順守・監視体制を整えるよう求めること など
マグロ資源
メバチ
WWFは、科学委員会の勧告を支持し、メバチ、キハダ、およびカツオの管理措置の改定をWCPFCに対し求めます。
- すべての漁業種類に適用される管理措置を採択すること
- FAD(集魚装置)の管理の更なる強化
- FAD操業禁止期間に代えて、年間のFADに依存した操業回数を管理するなど、より実質的なFAD管理に貢献するような、FAD依存度を減らす巻き網漁船の操業成功事例を確立すること
- FADを使用した操業回数を2010年レベルよりも確実に減らすような措置を導入すること
- 各漁場における巻き網漁船の努力量の規制 など
太平洋クロマグロ
WWFはWCPFCに対し、以下のことを求めます。
- CMM2010-04の改定とこれまでの適用除外をすべてなくすこと
- 0-3歳魚の漁獲圧が2002-2004年レベルを下回るよう、すべての生産国が管理措置を導入すること
南太平洋ビンナガ
WWFはWCPFCに対し、以下のことを求めます。
- 南太平洋のビンナガを漁獲対象とする漁船の隻数と努力量を効果的にコントロールするような管理措置の検討 など