©WWFジャパン

エコな生活アイテムとは?「オーガニック・コットン・ワークショップ」を開催

この記事のポイント
2018年8月25日にオーガニックコットン製品ブランド「メイド・イン・アース」とWWFの共催ワークショップを実施しました。人間の生活は地球の自然が生み出す資源で成り立っています。地球への負荷を減らすために大切なのは「エコなモノ」を選ぶことですが、どうしたら本当に「エコ」な製品を選べるのでしょうか?普段よく聞く、「オーガニックコットン」はどんなものなのだろう?という問いを参加者の皆さまと一緒に考えながら、実際に「オーガニックコットン」の「糸つむぎ」体験をしていただく楽しい時間となりました。

「エコなモノ」の選択を

「人の消費活動が、地球に大きな負荷を与えている」という話を、聞いたことがありますでしょうか?

海の魚や貝などの取りすぎ(乱獲)や、紙や木材の原料になる森林の乱伐、また牧草地や農地などの開発のために行なわれる自然破壊が、「人の消費」を支える上で生じている「環境への負荷」となっているのです。

「でも、地球には人間以外の生きものもいるし、中には人間よりずっと数の多いものもいるし、それらも負荷を与えているのでは?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。

ここで、実際に人間と他の生きものを数や重さなどで比べてみました。例えば、ツキノワグマは約1万5000頭(2010年)、「増えている」といわれるシカでさえ、約224万~456万頭(2016年)。(いずれも日本にいる数を想定)。それらに対し、日本の人口は1億2700万人(2017年)と、数だけ見ても、圧倒的に人間が多いことは明らかです。
もちろん、地域によっては人口が減り、野生動物による農作物などへの被害が大きな問題になっている地域もあります。それでも、日本全体で見れば、人間という存在が、環境の中でかなり「幅をきかせている」ことがわかります。

一方で、人間よりもずっと数の多い生きものもいます。たとえば「アリ」。ただ、アリは人間よりずっと小さいので、個体数に体重を掛け算して「世界中のアリの重さの合計」を出し、同じように「世界中の人間の重さの合計」と比べてみると、これがほぼ同じくらいになると推定している科学者もいます。

ならば、アリも、人間と同じくらい環境に負荷を与えているのかというと、そうではありません。アリが生きるうえで必要とするものと、人間が生きるうえで必要とするものには、大きな違いがあるからです。

アリと人間で必要なものの違い©WWFジャパン

生きる上で、さまざまなモノを必要とする私たち人間。アリのようにシンプルに生きることはできない分、出来る限り、地球への負荷を減らす努力が不可欠で、それを実現するために「エコなモノを選ぶ」ということが大切になってきます。

そこで、ワークショップの参加者の皆さまに、WWFが普及活動をしている「認証マーク」をご紹介しました。

誰もがほんとうに「エコなモノ」を見つけられるように、自然環境や地域社会を損なわずに生産されたものを見分けるためのマークです。

WWFは、主に上記の4つの認証マークの普及を行なっていますが、他にも環境への影響が気になるものはいろいろあります。

例えば、その一つが今回のテーマでもある「コットン(綿)」です。

「オーガニックコットン」を選ぼう

「メイド・イン・アース」では、世界各国の第三者の認証機関により認証されたオーガニックコットン(無農薬有機栽培綿)を使用した製品のみを扱っています。

メイド・イン・アースの前田さんのお話では、タオルや寝具、服やカバンなど、世界中でコットン製品が消費されていますが、その多くは大量の化学薬品や肥料を使って栽培、製造されているとのこと。

そのため、地球環境への影響のみならず、実は、消費者の健康に対する影響も懸念されています。

というのも、たとえば、コットンの種子は、家畜の飼料や食用油に用いられることもあるからです。

さらに、「オーガニックコットン」と表示されている布製品の中には、「オーガニックコットン100%」ではない商品も含まれているそうです。

現在の基準では、「オーガニックコットン」の混用率の表記は、努力目標であり、義務づけられていません。そのため、少しの割合しか入っていなくても、「オーガニックコットン」と表示ができてしまうのです。

©WWFジャパン

メイド・イン・アースの前田さんによるお話

そこで、前田さんから、参加者のみなさまにメッセージをいただきました。
実際にコットン製品を購入するときは、地球環境への負荷について考えて頂きたいということ。
そして、「オーガニックコットン」を購入しようとするときには、その製品表示だけでは鵜呑みにせず、本当に「100%オーガニックコットン」なのか、また製造工程の時点で化学加工をしていないかなど、購入先に問い合わせて、ご自身で望まれる製品かどうかを見極めていただきたいということ。

この2つが今回のワークショップで、皆さんに持ち帰っていただいた大事なこととして伝えられました。


最後に、実際にメイド・イン・アースさんが栽培した在来種の和綿(国産オーガニックコットン」を、「コマ」という道具を使用して、糸につむぐ体験をしていただきました。

実際に綿の栽培風景や綿花などの写真を見た後に、ふわふわのコットンのかたまりを手にし、次々に糸になっていく様子を見ると、本当に身の回りの「コットン製品」が自然由来であると実感できました。

初めての方が多く、途中で糸が切れてしまったり、最初はなかなかうまく紡げなかったりする中、糸をどんどん紡いでいたのは小学生の参加者の方。最終的には、皆さん、とても上手に糸を紡いでくれました。

©WWFジャパン

参加者の方の糸紡ぎ体験

今回のワークショップが、多くの皆さまにとって、日々の暮らしのアイテムの選択に、「環境への影響への配慮」という側面をプラスするきっかけとなれば嬉しいです。

ご参加いただきました皆さま、ありがとうございました。

<オーガニック・コットン・ワークショップ>
日時 2018年8月25日(土)13時~15時
場所 WWFジャパン 地下1階会議室
参加者数 18名
共催 WWFジャパン、メイド・イン・アース

この記事をシェアする

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP