カメラが証明するトラの危機
2011/06/18
こんにちは、森林プログラムの古澤です。
インターネットのニュースなどでご存知の方もいるかもしれませんが、最近インドネシアで仔トラの兄弟の映像を捉えることに成功しました!
これは3月から4月にかけて、WWFインドネシアのトラ調査隊がスマトラ島中部の森で行った調査で得られたものです。この映像を初めて見た時は、仔トラが落ち葉をくわえたり、じゃれたりしている様子に、とても驚きました。野生の仔トラ(しかも3頭!)が遊んでいる様子を記録した映像は、とても珍しいものです。
ところがこの映像、森林が伐採などの開発から保護される国立公園の外で撮られたものなのです。約25年間で森林の面積が半分になり、世界で最も森林減少のスピードが速いと言われるスマトラ島では、森はみるみるうちに消えてゆきます。
残念ながら、この仔トラの兄弟の住みかも、周囲は紙の原料となるアカシアの木やパームオイルをとるためのアブラヤシを植えるためのプランテーション(農園)に変わってしまっていて、その中にぽつんと浮かぶ小さな島のような森なんです。
しかも、土地の利用権は、製紙メーカーに木材を供給する企業が持っているので、政府から伐採の許可が下りれば森は消え、そうすればこのトラも…。
森もトラも危機的な状況にありますが、幸いにも、森の中のカメラがスマトラトラの存在を証明してくれました。WWFでは、この動画をもとにこの森が伐採を免れるように企業や政府に対して働きかけを行なっています。
続きはまた報告しますね!