干潟の環境保全への市民参加を考える


自然保護室の安村です。先日、韓国のソウルで、干潟の保全をめざす「市民モニタリング(調査)」を考えるワークショップに参加してきました。

これは、WWFの「黄海エコリージョン支援プロジェクト」の一環として開催されたもので、韓国各地から市民グループや研究者、行政関係者にご参加いただきました。

まず、研究者の方から、韓国の干潟の環境モニタリングの現状と課題について説明があり、続いてこれまで実施されてきた取り組みから、いくつかのモニタリング事例が報告されました。

これは、海岸の湿地の植生や渡り鳥、埋立てや油汚染による環境の変化などを調べた、市民による取り組み例です。

韓国側からの要望で、私からも日本の環境省が過去に行なった国内の干潟の全国調査や、市民モニタリングの結果をふまえたNGOの提案が、環境の保全施策に反映された事例を紹介。また、市民の参加を得た調査活動を持続させるためのヒントと課題について発表しました。

2日間にわたったワークショップでは、底生生物、底質、鳥類、植生、文化のテーマごとに、よりよい市民モニタリングのあり方についても意見交換が行なわれ、研究的な価値を高める、統一された手法による全国調査を展開していくための議論に熱が入りました。

ただ、こうした市民モニタリングとは、単に研究者による環境調査の補うためのものにとどまらず、自然資源を利用している地域の皆さん自らが、環境への関心を高め、情報を共有し、資源管理に取り組むきっかけにもしてゆくべきものでもあります。私からは、そうした点にも留意すべきことを強調しました。

このワークショップは今回を含め3回の実施予定で、4月の最終回には、市民モニタリングの手法、データ管理のあり方、運営方法等をまとめる予定です。今後の活動展開にもぜひご注目ください。

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初日のワークショップは夜10 時すぎまで議論が続きました。皆さん、とても元気。研究者と市民が意見交換する機会はあまりなかったそうです。

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黄海エコリージョン支援プロジェクトのモデル地区の一つ、韓国・全羅南道のムアン干潟での市民モニタリングの実習の様子。

 

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自然保護室長(淡水・リーダー開発・PSP)
安村 茂樹

修士(生物化学・早稲田大学)
サンゴ礁センター駐在時に地域住民主体の環境調査を立ち上げ(現在も石垣島、久米島で継続中)。南西諸島域にて、多分野の研究者と協働した野生生物有害化学物質汚染調査、生物多様性評価調査を指揮。GIS手法を用いた保全重要域図は生物多様性条約で示されたEBSAに、野外調査ではオキナワトゲネズミ再発見や久米島沖のサンゴ大群集発見に寄与。UNEP/GEF黄海プロジェクトと連携した日中韓湿地保全活動をリードし、2020年より緊急支援や淡水・教育活動に関わる部門を統括。

沖縄のサンゴ礁と森、中国・韓国の干潟の保全に従事。国際会議でサイドイベント主催やロビー活動をする機会をいただきました。国際、環境、NGO-この3ワードが合わさるWWFで、何をすべきか考え、その仕事の醍醐味を実感し、行動する。そんな機会を一人でも多くのスタッフに提供したいです。晴れの日に気が向いたら、自転車で通勤し、休みは、川でカヌー漕いでいます。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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