新しい「生物多様性国家戦略」をめぐって
2012/03/23
草刈です。
先週、環境省の「中央環境審議会自然環境・野生生物合同部会 生物多様性国家戦略小委員会(第1回)」という長~い名前の会議に出てきました。
この日は、日本の生物多様性の保全の柱ともいえる「生物多様性国家戦略」(以下、国家戦略)の改訂に向け、関係する各省の施策に関するヒアリングが行なわれた日でした。
今回の国家戦略の改定は、現在の国家戦略が平成24年までの期間であること、それから生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の成果を踏まえて見直されるものです。
出ていたのは、環境省、農林水産省、国土交通省、経済産業省。
環境省からは、これまでの生物多様性に関する取組についての説明が、農水省からは、いち早く策定した生物多様性戦略の改定案について、説明がありました。これは、一歩進んだ取り組みですが、現場での野生動物による農業被害については、まだ早急な改善が必要とされています。
いずれにしても、こうした各省庁の説明は、毎度同じパターンに陥っているようです。しかも、これまで一度も、現在の生物多様性国家戦略の記述と関連付けて説明されたためしがありません。どの事業が他省庁と連携したのかも分からず、縦割りバラバラな状態です。
また、小委員に参加していたNGO、研究者の側からは、海外の戦略を参照すべきという指摘もなされました。実際、ヨーロッパではすでに、生物多様性の損失を10 年以内に阻止する、新戦略を発表しています。
今、議論している日本の新しい生物多様性国家戦略は、インドで開催される第11回締約国会議(COP11)に間に合わせるべく、9月に閣議決定される予定です。そして、この戦略を基に、各都道府県、市町村の地域戦略が作られます。
次回の小委員会は4月12日で、文部科学省や防衛省からのヒアリングが行なわれます。生物多様性を保全するための重要なステージ。これからも注目です。