ヒマラヤのふもとより、日本の皆さんへ
2012/12/13
皆さん、こんにちは。
WWFリビング・ヒマラヤ・プログラムのリーダー、タリク・アジズです。
私たちが活動しているフィールドは、ブータン、ネパールと北東インドに広がるヒマラヤ東部の南麓。世界有数の自然の豊かさ誇る場所で、WWFが特に力を入れている優先保全地域です。
しかしこの一帯は、野生生物の生息地の破壊や密猟だけでなく、地球温暖化という世界的な問題の影響を真っ先に受けている、環境保全の難しさを象徴する場所でもあります。
今、私たちはブータンのプンツォリンという町で、ブータンとインドの国境地帯で進められている、TraMCA(多国間マナス保護区構想)の作戦会議を開いています。
TraMCAは、世界で唯一、ゾウ、サイ、トラが共存するかけがえのない場所であるばかりでなく、東ヒマラヤの給水塔であるブータンの山々から水を受け止め、ガンジス川に水を供給する、大事な地域になります。下流に暮らす何億という人々が、この水を頼っているからです。
マナス地域を共有する、ブータンとインド・アッサム州の国立公園局関係者が、WWFの呼び掛けで、この新しい多国間構想の検討を開始したのは、今から2年ほど前。
今回の作戦会議では、ここでの活動のキーワードとなる「水」という側面から、地域の生態系が持つさまざまな機能を理解し、優先的に取り組むべき活動を検討しています。
今回、WWFジャパンからブータンへの支援が始まり、日本の皆さんにマナス地域を知っていただく機会ができました。
「国民総幸福度」の国ブータンと、困難であっても行くべき道を迷わず進んだガンジーの祖国インドが、力を合わせて取り組むこの新しいプロジェクト。先行きに、ぜひ注目してください。(自然保護室 岡安聞き取り)