これは一体、誰の足跡?


ボルネオ島の森林再生の現場より、自然保護室の小林です。

生物多様性の宝庫である熱帯の森は、まさに生きものだらけ! と、思われている方もいらっしゃるかと思いますが、なにぶん見通しの利かない森の中のこと。

このボルネオもですが、なかなかそうそう野生動物の姿を目にする機会はありません。

ですがそうした場所にも、生きものの痕跡を見つける手がかりがあります。それは、足跡、です。

今日見つけた足跡は、サンバー(シカの一種)、ヒゲイノシシ、それから写真のこの足跡。

何かお分かりになる方は、ボルネオの野生動物についてのエキスパート・レベル!かも?しれません。

正体は、コツメカワウソという小型のカワウソで、長い尻尾を入れても60センチ~1メートルほどしかありません。

インドから東南アジアにかけての川の流域に生息していて、カニや貝、カエル、魚などを食べています。マレーシアでは、飼いならして漁に使うこともあるとか。

私も以前研究していたことがありますが、なかなか野生で実物を見る機会はありません。

こんな生きものたちが元気に生きている森は、まだまだ自然が豊か!と、思いたいところですが、実はこの写真を撮った現場は、過去に人の手が入った、すさまじく劣化した森でした.

それでも、このようにかろうじて生き延びている魅力的な動物たちの息吹に触れると、何とか森林の減少や劣化に歯止めをかけて、自然をのこしてゆかねば!と強く思います。

今回のボルネオ行で、もし運よく野生の動物たちの姿を見ることができたら(そして写真が撮れたら!)またご紹介したいと思います。

なんの足跡でしょうか?


サンバーのひづめの跡


こちらはヒゲイノシシの足跡

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自然保護室(淡水)
小林 俊介

修士(動物学・京都大学)
京都大学在学時にボルネオ島での野生動物の行動学を専攻。ボルネオの豊かな生物層の魅力を知るとともに農園開発などの環境課題の大きさを実感する。2013年にWWFに入局。ボルネオ島での絶滅危惧種保全、持続可能な森林・農園管理、ESDなどの活動を担当。2018年よりサンゴ礁保護研究センター長。サンゴ礁保護研究センターの地元移譲を経て2021年から現在まで淡水グループ繊維担当と、海洋グループ白保担当を兼務。

子供のころからの動物好きが高じて、東南アジアでの野生動物の研究に携わった後、WWFへ。森林、海洋、淡水と様々な分野を担当し、持続可能な資源管理を中心に海外・国内のフィールドにも携わってまいりました。フィールドで豊かな自然とそれを守るために頑張っている仲間たちと交流するのが何よりの楽しみです。

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