CO2濃度「初の400ppm超え」報道について
2015/05/08
昨日、「大気中の二酸化炭素(CO2)の1カ月間の平均濃度が、初めて400ppmを超えた」というニュースが流れました。
これは、アメリカのNOAA(海洋大気局)が、今年3月に世界40カ所で行なった観測の結果に基づいたものです。
石油や石炭を燃やすことで発生するCO2は、いうまでもなく、気候変動の最大の原因とされている温室効果ガス。それが確実に、増加していることを示す発表でした。
これがどれくらい危険な数字なのか、説明は決して簡単ではありません。
ですが今、日本を含む国際社会が、「気候変動の深刻な影響を抑えるために必要だ」と共通認識を持っている「危険レベル」の一つの目安が450ppmであるということ、そして、産業革命前(1750年)はこの数字が280ppmであったことを考えれば、危険な未来が間近に迫っていることは明らかといえるでしょう。
また、報道では「観測史上、初めて」と言っていましたが、この400ppmは、IPCCも報告する通り、過去80万年間でも最高の濃度なのです。
この450ppmという「危険レベル」を超えないためには、現状で相当な努力(2050年に2010年比で40~70%削減)が必要とされます。
ですから今、年末にパリで開かれる国連の温暖化防止会議(COP21/CMP11)に向け、各国政府が発表し始めている新しい削減目標が、重要な意味を持つことになります。
省エネや再生可能エネルギーの可能性がまだ十分あるにもかかわらず、不十分な削減目標しか出さず、国際社会の信頼を損なっている国は、早くその姿勢を改めねばなりません。
かつて、温暖化は孫の世代の問題、といわれていました。ところが、この問題は現在においてさえ深刻な、しかもあらゆる自然環境に影響する脅威になりつつあります。
世界の国々が、この年末に向けてどれだけの努力をし、どのような決断を下すのか。
400ppmという数字のこれからは、それによって変わってくるに違いありません。(自然保護室 小西雅子)