「春が来た!」マラソンバードたちの旅
2015/10/20
自然保護室の安村です。
春が来ました! といっても、日本の話ではありません。
こちらとは季節が逆の南半球、ニュージーランドの話です。
先日、ニュージーランドのメディアで、そんな南半球の季節感じさせる記事が紹介されていました。
9月半ば、ニュージーランドはクライストチャーチに、200羽以上のオオソリハシシギの第一陣が到来した、というものです。
渡り鳥であるオオソリハシシギは、毎年この時期、一週間以上かけて、冬の厳しいアラスカから1万キロ以上の距離を飛び、この地にやってきます。
通称「マラソンバード」とも呼ばれるこの鳥たちは、地元では春の到来を告げてくれる「使者」だそう。
暖かいこの場所で、オオソリハシシギは食べに食べて栄養を蓄え、次の旅までに体重を2倍にします。
そして来年3月、中国や韓国の黄海沿岸、また日本の干潟へと飛んで来て数週間を過ごし、また繁殖地のアラスカへと旅立ってゆくのです。
毎年繰り返される渡り鳥のこうした営みは、ついつい見過ごされがちですが、遠く離れた外国から季節を運んでくる使者を迎え、楽しむことは、とても贅沢なことではないでしょうか。
そんな鳥たちは今、さまざまな環境問題によって脅かされています。特に深刻なのが、干潟など沿岸の湿地の開発。
彼らを守るためには、こうした「渡り」がつなぐ各国の中継地や繁殖地、越冬地にあたる湿地の自然を保全しなくてはなりません。
そして、この鳥たちを守る世界の人々もまた、つながりを持って取り組みを続けています。
私たちもその一員として、東アジアの湿地と渡り鳥の保全を目指しながら、彼らが来年、南半球から日本に春を告げに来てくれるのを、楽しみにしたいと思います。