ツキノワグマの息吹を感じる町で


事務局長の筒井です。
町の97%が深い山林を占める島根県益田市匹見町。

去る9月20日、私たちが島根県と共同プロジェクトを実施しているこの町で、シンポジウム「もっと知ってもらいたい匹見とクマの実態」を開催しました。

過疎化と高齢化が急激に進むこの町では、集落に出没するツキノワグマが住民との軋轢を深めています。

そしてその最前線で、クマの保護管理に取り組む県職員のスタッフの方々は、出没時の緊急対応も辞さず、クマと人の共存に向けた取り組みを、日夜続けてこられました。

晴天に恵まれたシンポジウムとフィールドツアー

しかしそれでも、匹見町はクマが実際に出没し、被害を恐れる生活者の暮らしがある地域。

シンポジウムでも、「自然保護団体は他人の村に来て余計なことを言わないでくれ」、「クマを護る前に、住民を守るべきではないのか?」との声があがり、会場には緊張が走りました。

日本の森の豊かさを象徴するツキノワグマ。

一方で「クマは森の王者。それだけに恐ろしい」との意見も聞かれました。

そのような野生動物との共存に向けて、地域に理解と協力をいただき、合意を見出すことは容易ではありません。

県職員の方のお話では、クマはクリやカキは我慢しても、蜂蜜だけは絶対に諦めず、人里近くの樹木や、宅地の敷地内でさえも蜂の巣があるとやってきてしまうそうです。

実際、シンポジウムと同時に行なわれたフィールドツアーでは、蜂蜜欲しさに壊された民家の屋根や、スギの樹洞を見学し、森の住人たるクマの息吹を感じました。

全国各地からさまざまな立場の方が参加したシンポジウム

WWFスタッフの那須もパネリストとして登壇しました

シンポジウムの終了後には、出没対応に同行する機会にも恵まれましたが、通報後すぐ現場に駆けつける職員の方々の姿は、まさに信頼と安心を与えてくれるものでした。

最前線で注がれる、こうした皆さんの情熱に深く感銘を受けつつ、これからも抑止策の知見を集め、クマとの共存に向けた取り組みをお手伝いしたいと思います。

フィールドツアーにて。スギの樹洞にあった蜂の巣を取ろうとクマが格闘した跡。

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局長
筒井 隆司

WWFジャパンが中長期戦略を立案し、様々な分野のリーダーとの交流で時代の要請に応えられる団体にする。人事・予算を管理し役員会・APGS・WWFネットワークとの折衝と貢献を担う

長い海外勤務経験を活かし、日本が持続可能な成長に貢献出来るよう尽力したいと思います。せっかく国際環境保護団体にいますので"Be a voice, not an echo"を実践して日本の考えや主張を積極的に発信したいと思います。還暦を過ぎても気持ちは青年を維持したいと思います。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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