有明海・荒尾海岸で進む市民参加の干潟保全
2016/02/01
九州・有明海の沿岸、熊本県の荒尾から、地元の海の保全にかかわっていらっしゃる方から、嬉しいニュースをいただきました。
日本を代表する干潟の一つである荒尾干潟に、新しくビジターセンターが開設されることになった、というものです。
荒尾干潟は、国際的な保全湿地として「ラムサール条約」にも登録されている、国内屈指の渡り鳥の飛来地で、ノリ養殖をはじめとした沿岸漁業も盛んです。
ビジターセンターは、干潟の自然を体験し、その保全や漁業について学ぶ場となるもので、送っていただいた熊本日日新聞の記事によれば、開設を求める地元の声を受け、環境省が利用計画と基本構想の策定に踏み切ったとのこと。
実際、環境省が地元で開いた意見交換会では、センターの展示や実習などについて、漁協関係者が提案したノリの手摘み体験などをはじめ、さまざまなアイデアと熱意が示されました。
「施設ができるだけでは困る」という声が上がっていることからも分かる通り、取り組みに向けた荒尾の皆さんの姿勢は本物。国としても、こうした地元の活動を認めて一歩を踏み出したようです。
私たちWWFが10年前に保全プロジェクトを開始した時、有明海にまだ一つもなかったラムサール条約の登録地は、今ではこの荒尾海岸を筆頭に3カ所となりました。
いずれにも共通しているのは、地域の方々が地元の海を守り、引き継いでいこう、という強い想いと、そのための取り組みを地道に続けてきたことです。
そんな人たちと一緒に行なった活動と、今日実った成果は、私たちにとっても大事な経験になっています。
2017年度に着工予定というこのセンター。
エコツアーなどの取り組みや、学習施設としての機能、そして地域の自然と産業への理解を深めていく、そんな拠点になってくれることを期待したいと思います。(自然保護室 前川)