実効性の高い企業の温暖化対策に投資家も強い関心
2016/09/01
皆さん、こんにちは。温暖化問題担当の池原です。
先日、大和証券が主催する投資家向けのESG投資セミナーで、講演をさせていただきました。
ESG投資とは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)に配慮した企業を選んで行なう投資のことです。
たとえば、環境面であれば、温暖化対策を積極的に実施しているか、といったことが重視されます。
最近は国連の責任投資原則(PRI)にしたがい、欧米の機関投資家を中心に、ESG投資が世界で広がっています。
これまで日本では、こうした投資行動があまり進んでおらず、ESG投資の世界シェアは1%未満でした。
ところが、2015年9月、そうした状況を大きく変える出来事がありました。
日本国民の年金を管理・運用する機関であるGPIFが、PRIに署名したのです。
GPIFは、運用資産が140兆円に上る世界最大の機関投資家です。
GPIFがPRIに署名したということは、その資産運用を受託しているアセットマネジメントの各社にも、ESGを重視した投資先の選定が求められます。
そのため、投資家にとっても、企業が開示している環境情報などを正しく理解し、比較しながら、環境対策などに意欲的に取り組む企業を見極める力が必要となります。
今回の講演で、私はWWFの『企業の温暖化対策ランキング』の調査結果をもとに、実効性の高い対策を実施している企業を業種ごとに紹介し、企業の開示情報を評価する上でどのような点を重視すべきかを解説しました。
パリ協定などの国際動向を踏まえた取り組みが重視されるようになった今、気温上昇を「2度未満」に抑えるため、企業としても長期的なビジョン・目標を掲げる動きが広がっています。質疑応答でも、この長期ビジョンに関する質問が数多く寄せられました。
今後企業の側も、こうしたESG投資の流れを念頭に置きながら、国際動向を踏まえた実効性の高い取り組みと分かり易い情報開示を心掛けていくことが重要です。
投資という行動が、そうした環境情報をもとに、持続可能な社会を実現するための推進力となるよう、これからも注目していきたいと思います。
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