四国のナベヅル越冬地誕生に向けて!


自然保護室の並木です。
今年もナベヅルが、渡ってくる季節になりました。

ナベヅルは夏に、ロシアや中国で繁殖し、秋になると数千キロを飛び、日本にやってくる冬鳥です。

昔は全国に飛来していたようですが、現在は世界全体で1万羽あまりといわれるまでに減少。限られた地域でしか見ることができません。

特に九州の出水平野は、世界のナベヅルの約9割が越冬する貴重な地域。

ですが、多くの個体が一カ所に集中すると、病気などが発生した場合、絶滅の恐れが一気に高まる危険があります。

このため、越冬地の分散や、新たな形成が、大きな課題でした。

そんな中、昨年300羽ものナベヅルが四国各地に飛来。

地元自治体や関係者の方々の努力もあり、100羽以上がその年の冬を四国で越したのです。

そして冬の渡りのシーズンがそろそろ始まる今年も、四国にまたツルたちが渡ってくるのではないかと期待されています。

何よりこれは、長く望まれてきた、新しい越冬地形成への大きな第1歩となるかもしれません!

そこで私たちは、昨年に続き、今年も日本野鳥の会などの自然保護団体と協力して、四国各県などに対し、飛来したツルの保護に、特別の配慮を依頼する提言を実施。

九州の出水平野。多くのツルが集まる場所です

飛来地での狩猟や、不用意な接近の自粛などをお願いする要請を行ないました。

すでに飛来が予想される地域では、ツルたちが安心して越冬できるように、地元小学校の子どもたちが、田んぼにツルの模型を置くなど、ツルたちが安心して飛来する工夫をしている、といった報道もあり、保護の意識も徐々に広まっている様子。

地元の皆さんの理解と優しさに支えられ、いずれ四国各地に、出水平野に並ぶような素晴らしいツルの越冬地が誕生する!

そんな日が来るように、私たちも応援していきたいと思います。

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自然保護室(淡水 グループ長)
並木 崇

学士(環境情報学)。
前職ではランドスケープ設計事務所で、植物園や公園などの計画・設計に従事。都市公園コンクールなど受賞。2016年9月からWWFジャパンで有明海沿岸域の水田地帯におけるプロジェクトを担当し、2020年7月より現職。持続可能な農業の普及を通じた水環境の保全活動を推進。大学関係者、行政、企業、農業者のネットワークを活かした活動に取り組んでいる。

スポーツと自然の中で過ごすのが好きな子どもでした。大学で環境や建築を少し学んで、ランドスケープ(造園)の道へ。生きもののことを考えつつ土や石、水を取り扱うものづくりは楽しかったです。ものづくりだけではなく世の中の仕組みにも関心が高まってWWFへ。あきらめずに進んで行きたいと思います。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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