© Cayetano Espinosa / WWF Chile

チリイルカ保全のワークショップに参加しました


生物多様性の豊かな南米チリの海。

その自然を守るため、私たちが取り組む活動のひとつに、「チリイルカ」の保全があります。

世界でチリの沿岸域にのみ生息する固有種のチリイルカは、生態系の健全性を測るうえでも重要な種です。

チリイルカ。体長は1.7メートル程と小型で、丸みを帯びた背びれが特徴です。WWFの取り組み開始以前は、ほとんど調査が行なわれておらず、その生態や個体数もはっきりとわかっていませんでした。
© Sonja Heinrich / WWF Chile

チリイルカ。体長は1.7メートル程と小型で、丸みを帯びた背びれが特徴です。WWFの取り組み開始以前は、ほとんど調査が行なわれておらず、その生態や個体数もはっきりとわかっていませんでした。

WWFジャパンはWWFチリを支援し、このチリイルカの生態調査を行ない、重要な生息域と考えられていたチロエ島とその周辺で、推定個体数やチリイルカの好む環境を明らかにすることができました。

そしてこの調査結果を踏まえた、チリイルカの保全計画づくりが今まさに進んでいます。

チリイルカの調査風景。イルカの背びれは人間の指紋のように個体によって異なっているため、カメラで撮影した背びれのデータをもとに個体数を推定しました。
© Sonja Heinrich / WWF Chile

チリイルカの調査風景。イルカの背びれは人間の指紋のように個体によって異なっているため、カメラで撮影した背びれのデータをもとに個体数を推定しました。

私も実際にチリを訪問した際に、チリ最南部の州マガジャネス州のプエルト・ナターレスで行なわれた、保全計画づくりに向けたワークショップに参加してきました。

ワークショップでは、サーモン養殖企業などを含む関係者と、保全の重要性や、この地域でのチリイルカにとっての脅威について話し合いました。

脅威の一つとして指摘されたのが、サケ(サーモン)養殖場の獣害対策用の網にかかり、チリイルカが怪我をしたり命を落としたりしてしまうこと。

日本が輸入するサケ・マス類の約6割はチリ産ですが、私たちが食べているサーモンを生産するために、チリイルカが犠牲になっている可能性もあるのです。

ワークショップでチリイルカの特徴や保全の重要性について説明するWWFチリのスタッフ。
© Naoyuki Yamagishi / WWF Japan

ワークショップでチリイルカの特徴や保全の重要性について説明するWWFチリのスタッフ。

こうしたワークショップでの関係者との話し合いをもとに、保全計画案が完成に近づいています。

今後この計画案はチリ政府に提出され、レビューを経て承認された後、実行に移される予定です。

計画がチリイルカの保全に効果的な内容となり、それが適切に実施されていくよう、引き続きWWFチリのスタッフとともに取り組んできます。(海洋水産グループ 吉田)

チリ沿岸の海を泳ぐチリイルカ。このイルカを守ることは、海の豊かさを守ることにもつながります。
© Cayetano Espinosa / WWF Chile

チリ沿岸の海を泳ぐチリイルカ。このイルカを守ることは、海の豊かさを守ることにもつながります。

海流の贈りもの

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自然保護室(海洋水産)
吉田 誠

チリ、インドネシア、中国のフィールドプロジェクトを担当。

田舎生まれの田舎育ち。こどもの頃から自然の中で遊ぶことが好きで、自然を守る仕事がしたいと思っていたところ、WWFと出逢いました。海の環境、海の生きものを守るため、頑張ります。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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