いろいろなステークホルダーと真摯に対話 エンゲージメントがパリ協定時代のカギ[みずほフィナンシャルグループ 後編]
2021/04/01
2020年の(株)みずほフィナンシャルグループの株主総会において、気候関連リスクおよびパリ協定(地球温暖化対策の国際的枠組み)の目標に整合したファイナンスを行なうための計画開示について定款への規定を求める、NGOからの株主提案が出されました。結果として議決で否決となりましたが、約3割の株主がこの提案を支持し、大きな話題となりました。
同社は、経営の基本方針の中に「サステナビリティへの取り組みに関する基本方針」を持ち、気候変動対応のみならず、木材や紙・パーム油などの生物多様性の取組においても明確な持続可能性の方針を掲げています。2018年に立ち上がったという戦略企画部サステナビリティ推進室に取材に伺いました。
そこで非常に印象的だったのは、様々なステークホルダーと真摯に対話する姿勢です。NGOはもちろんのこと、投資家からも多くの意見が届けられ、顧客や監督省庁とのディスカッションにおけるプレッシャーもある中、それらは同社に対する関心事項であり、期待でもあると捉え、情報開示を拡充し、TCFD*レポートも新しく出すなど、コミュニケーションを取ってきた、という姿勢に非常に感銘を受けました。
また顧客とのエンゲージメントも非常に重視した経営をしているとのこと。顧客の脱炭素化などのサステナビリティを支援するには、顧客に説明できるだけの高い専門性が必要となります。そこで現場の営業担当者に対して、サステナビリティの能力向上を図る教育も継続的に実施されているとのこと。SDGsやパリ協定時代には、どの業界においても人材の再教育が欠かせません。
さらに同社では、専門性の追求とやりたいことを磨けるようにと、社内兼業制度があるそうです。その中で若い社員に最も人気があるのが、ソーシャルボンドを手掛けるSDGsビジネスデスクということ!理由をお聞きしたら「社会の役に立ちたいという思いが強いのではないか」とのことでした。
まさにSDGsの17番「目標のために協力するパートナーシップ」。様々なステークホルダーとのエンゲージメントがパリ協定時代のカギだなと改めて実感した取材でした。
詳しくは記事をぜひどうぞ!
*TCFD=Task Force on Climate–related Financial Disclosures、気候関連財務情報開示タスクフォース