インドシナトラのグッド・ニュース!
2017/03/31
先日、タイ東部の森で、インドシナトラの繁殖が確認された、というニュースが大きく報道されました。
その内容によれば、現地を調査した保護団体の関係者は「奇跡的だ」と語ったとのことですが、本当にこれは大変なニュースでした。
インドシナトラは9亜種が知られるトラの亜種の1つで、かつてはインドシナ半島に広く分布していました。
しかし、ベトナムやラオス、カンボジアなどでは、ここ10年ほどの経済成長に伴い、急激に進んだ森林破壊のあおりを受け、繁殖個体は絶滅。
密猟も危機に拍車をかけ、もはやトラの生息が十分に可能な場所は、タイ・ミャンマー国境周辺のまとまった森以外には、スポット的に森が残る保護区3、4か所に限られると考えられていたのです。
そんな状況の中での、本当に貴重な朗報でした。
しかし、今回確認された繁殖個体群が、すでに絶滅寸前の危機にあることは明白です。
さらに、インドシナトラについては、生態や行動圏の広さなどが詳しくわかっていません。
インドシナ半島では20世紀後半の内戦と、その後の政治的な混乱を引きずり、野生動物の保護調査が十分にできない状況が続いてきたためです。
そして近年は、経済の成長が大きく進んだ一方、自然に配慮した開発や、環境の保全といった取り組みが遅れをとってきました。
今、残されているインドシナ半島の自然の危機は、今食い止めなければなりません。
この地域に産するゴムやパーム油などの産品を、日本が多く輸入していることも忘れずに、私たちも今後、インドシナトラが繁殖するもう一つの場所、タイ西部の国境に面したミャンマー側の森で、森とトラの保全活動を支援してゆきたいと考えています。
続報が得られましたら、またお知らせいたしますので、ぜひ応援をよろしくお願いいたします!
(自然保護室 川江)