「ワンワン! このカバンが怪しいぞ!?」


中国の雲南省から、こんな動画が届きました。

空港の荷物が流れてくるベルトコンベアの上を走る犬。これ麻薬を発見する麻薬探知犬ならぬ、野生生物探知犬です。

彼らが嗅ぎ付けるのは、荷物の中に隠された野生動物や、骨、角、毛皮、羽など、輸入が禁じられている密輸品。犯罪捜査と抑止に貢献する犬たち、というわけです。

日本もそうですが、輸出や輸入が禁じられている品を、現在こうした空港や港などの「水際」の現場で見つけ出すのは、きわめて難しいのが現状です。

個人が持ち運びできるような荷物の中ともなれば、その捜査の困難はいや増すことになり、認知されないまま続いている密輸が、まだ多くある可能性も考えられます。

それらを防ぐためには、法律を厳しくすることはもちろん、その施行についても、さまざまな手段やアイデアをひねり出し、実現の方法を考えねばなりません。

そんな中で、以前から活躍が期待されていた、この野生生物探知犬たちが登場することになりました。

今回、雲南省で主な空港などに配属されることになった犬は3頭。厳しい訓練を受け、隠された虎骨、象牙、サイの角、センザンコウの鱗や生きた淡水ガメを見つけ出す!という試験に見事パスした、優秀な犬だそうです。

また、この犬と一緒に働く空港のスタッフも、7月の終わりにWWF中国が昆明で開催した、トラをはじめとする野生生物の違法取引についての国際ワークショップにも参加するなど、取締りの強化をめざしているとのこと。

野外のフィールドではないですが、ここもまた野生生物保護の現場。違法な取引に対抗する新しい力として、犬たちの活躍に期待したいと思います。(広報担当:三間)

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

学士(芸術学)。事務局でのボランティアを経て、1997年から広報スタッフとして活動に参加。国内外の環境問題と、保全活動の動向・変遷を追いつつ、各種出版物、ウェブサイト、SNSなどの編集や制作、運用管理を担当。これまで100種以上の世界の絶滅危惧種について記事を執筆。「人と自然のかかわり方」の探求は、ライフワークの一つ。

虫や鳥、魚たちの姿を追って45年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの30年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと願っています。

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