植林地を見張るツリーハウスが完成しました!


こんにちは、森林担当の川江です。
インドネシア・スマトラ島のブキ・バリサン・セラタン国立公園で行われている活動のひとつに、違法伐採跡地での植林があります。国立公園でありながら、米などの食料や、コーヒーのような換金作物を栽培するための違法伐採が跡を絶ちません。

すでに農地に転換されてしまったエリアを森に戻すべく進めている植林ですが、火災や野生ゾウの踏み荒らしにより、その一部が枯死してしまうことがあります。火災の原因は天然発火もありますが、不法侵入者によるタバコなども大きな原因となっています。

こうしたことを未然に防ぐために、植林地のすぐ近くある木に見張り小屋としてのツリーハウスが設置されました。見張りによって不法侵入者を早期発見できるようにし、火災のリスクを排除するためです。

また、野生ゾウが出てきた場合、この地域にはエレファント・パトロール隊がいるので、すぐに彼らに連絡します。エレファント・パトロール隊は、訓練されたゾウとゾウ使いで構成され、野生のゾウが近づいた際には現場に駆けつけ、訓練を受けたゾウが野生ゾウを森林内に追い返します。

加えてこの地域の住民たちも、ふだんから野生のゾウと衝突することなく追い返す訓練を受けており、花火を使ってゾウを遠ざけることもできます。

地域住民たちはもともと国立公園内で違法に森を切り開いて農業をしたりしていましたが、植林への協力を呼びかけることで、彼らの新たな雇用につながり、収入にもなっています。そのため、完成したツリーハウスでの見張り役も、地域住民たちが交代でおこなって、自分たちの植えた木を守っていくことにしています。

これからの乾季は特に火災の危険性が高まるため、火災と野生ゾウによる被害の防止に努めていきます。

コミュニティエリアに現れた野生ゾウ。(C)WWF Indonesia

(C)WWF Indonesia

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自然保護室長(森林・野生生物・マーケット・フード・コンサベーションコミュニケーション)、TRAFFICジャパンオフィス代表
川江 心一

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科修士課程修了。
小学生の頃に子供向け科学雑誌の熱帯雨林特集に惹きつけられて以来30年間、夢は熱帯雨林保全に携わること。大学では、森林保全と地域住民の生計の両立を研究するため、インドネシアやラオスに長期滞在。前職でアフリカの農業開発などに携わった後、2013年にWWFに入局。WWFでは、長年の夢であった東南アジアの森林保全プロジェクトを担当し、その後持続可能な天然ゴムの生産・利用に関わる企業との対話も実施。2020年より現職。

小学生の頃に科学雑誌で読んだ熱帯雨林に惹きつけられると同時に、森林破壊のニュースを知り「なんとかしなきゃ!」と思う。以来、海外で熱帯林保全の仕事に携わるのが夢でしたが、大学では残念ながら森林学科に入れず・・。その後、紆余曲折を経て、30半ばにして目指す仕事にたどり着きました。今でもプロジェクトのフィールドに出ている時が一番楽しい。

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環境保全団体です。

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