山から土を運んでくる?ボルネオ島での植林活動
2014/10/13
こんにちは、自然保護室の小林です。
先日、ボルネオ島の西カリマンタンへ行ってきました。
ボルネオ島には世界屈指の熱帯林が広がり、オランウータンをはじめゾウやサイ、ウンピョウといったたくさんの野生動物のすみかとなっています。
今回訪ねたのは、ある企業が伐採権を持つ森。 ここから切り出された木材は、合板やフローリング用の材として日本にも輸出されています。
この企業は、森を乱伐せずに利用しながら、伐採跡地では自然を回復させるため、ボルネオの代表的な樹種である、フタバガキ科の木の苗の植林を試みています。
現場で私が一番驚いたことは、この植林地には、わざわざ山から運んできた土が混ぜられていたことです。
理由を聞いてみると、土の中にはフタバガキ科の木と共生する菌がいて、木の生長を助けているためだそうです。
この菌は、キノコの菌糸のように木の根を覆うことがあり、木から光合成による栄養をもらう一方で、木には無機養分を供給していると考えられています。
こうした「土運び」の他にも、挿し木をして苗木を育てるなど、現場ではさまざまな試行錯誤を重ねている様子が見られました。
伐採企業というと、利益のために豊かな森を皆伐したり、違法伐採を繰り返す印象がありますし、実際そのような問題も後を絶ちません。
しかし中には、森を自らの経営資源ととらえ、持続可能な利用に取り組み始めている企業も増え始めています。そのことを目の当たりにし、頼もしく感じた時間でした。
暮らしに欠かせない、木材や紙などの森林資源。それを供給する企業の姿勢や取り組みは、森を守る上で重要な意味を持ちます。こうした取り組みを、私たちも応援していきたいものです。